都内でトレーニングを行った男子7人制日本代表の選手たち。羽野一志(中央)らが遠征メンバーに選出された
(撮影:松本かおり)
9月1日からマレーシアのサバ州コタキナバルのリカス・スタジアムで開催されるHSBCアジアセブンズシリーズ 第1戦『ボルネオセブンズ』。同大会へ出場する男子7人制日本代表の遠征メンバーは8月28日午後に発表されたが、同代表スコッドは同日午前中、東京・辰巳でメンバー選出前の最後のトレーニングを行った。
練習後、遠征メンバー発表を直後に控えた瀬川智広ヘッドコーチは、ボルネオ大会から始まるセブンズ・ワールドカップ(2013年、ロシアで開催/以下、セブンズW杯)へのアプローチについて、次のように語った。
同W杯のアジア予選は11月2日、3日に開催されるシンガポールセブンズが兼ね、同大会での上位3か国がロシア行きの切符を手にすることになっているが、シンガポール大会のシードは今回のボルネオ大会と、上海(中国/9月22日、23日)、ムンバイ(インド/10月13日、14日)の各大会の結果を集計した通算成績で決定する。だから、これから始まる2か月間の戦いの途中、気を抜く時間はないのだと指揮官は決意を口にした。
「ここにいるメンバー(遠征メンバー以外も含むスコッド)は、これからの2か月間の大会に複数回参加出来るメンバーです。一度きりの大会で結果を残せばいいのであれば違う構成になるかもしれませんが、継続的に強化を続け、シンガポールでしっかり結果を残さなければならない。それを実現するための人材と理解してもらっていいと思います」
最終的にボルネオ行きが決定したメンバーの顔ぶれを見ると、セブンズ界の大ベテランと言っていい桑水流裕策(コカ・コーラウエスト)や、7月に開催されたセブンズ学生世界選手権で主将を務めた坂井克行(豊田自動織機)ら経験豊富な選手たちに加え、四至本侑城(クボタ)、仲宗根健太(サントリー)らの名前もあった。瀬川ヘッドコーチは言う。
「四至本については、単純にセブンズ向きの選手かどうかと言えば疑問に思う方もいるかもしれませんが、いまのチームのやり方に合った選手です(186cm、103kg/本職はNO8/セブンズ学生世界選手権メンバーにも選出)。ブレイクダウンを作り、そこを制することで選択肢を広げることをやっていきたい。その局面で力を発揮してくれると思っています。仲宗根については防御力を期待しています。彼は今回の招集に対しても、『自分の強味はディフェンス』と言いました。セブンズのカテゴリーでなかなかそう口にする選手はいないのですが、実際に合宿中にもその言葉を実証する場面がたくさんあった。サポート能力とともに、チームにとって大きな力となるはずです」
セットプレーの安定と、持続力のある防御で活路を開いてきた村田亙監督時代のセブンズ代表から、瀬川ヘッドコーチ体制になって、『1対1で勝負に出る』、『ブレイクダウンを作ることをいとわない』方針を打ち出した。選手選考も、それに沿ったものに変わりつつある。
また今回のメンバーには代表トライアルに自ら応募し、ふたたび桜のジャージーを手にすることになった横山ツインズ(兄・健一、弟・伸一/リコー)も含まれるが、「このチームに入りたい、セブンズ日本代表で結果を残したいという気持ちを強く持っていることは、もっとも大切にした選考基準」と瀬川ヘッドコーチ。荒牧佑輔(九州電力)、豊島翔平(東芝)らも同様のメンタリティーを持った選手と認識しており、今回はトップリーグ開幕と重なり、チーム事情で参戦はならなかったが、この先の戦いの中ではジャパンの力となる機会はあるはずだ。
辰巳のトレーニングではゲーム形式での練習前にフィットネストレーニングも行われたが、FWの後藤駿弥(ホンダ)が積極的に先頭を走るなど高い身体能力を見せた。また、経験値の高いSH和田耕二(トヨタ自動車)、大学生で唯一遠征メンバーに入った羽野一志(中央大)らの動きも目立ち、チームは高い攻撃力を発揮しそう。SOとしての起用が濃厚で、中核と期待される坂井は、「前体制チームといまのチームではやることが少し違いますが、これが正解、と言えるものがないのもセブンズの特徴です。だから試合の流れの中での判断や方向性を、僕ら経験のある選手たちが示して、チームをいい方向に導きたいですね」と抱負を口にした。
「各国の強化の進み具合、特徴は、実際の大会までほとんど分からないのが実情ですが、前任の村田さんはチームをアジアのナンバーワンとして、引き継いでくれました。だから今年の各大会も、すべてナンバーワンの座を守る戦いにしたい」と瀬川ヘッドコーチ。チームは8月29日午前の便で成田を発ち、現地で2日間のトレーニングを行って大会へ。9月4日に帰国する。