(ダニエル・アドンゴ)
ケニア出身の大型FWとして2012年スーパーラグビーでの活躍が期待されたダニエル・アドンゴだが、ブルズ(南アフリカ)ではチャンスに恵まれず、元オールブラックス主将のタナ・ウマンガがヘッドコーチを務めるカウンティーズ・マヌカウへ移籍することが、スポーツ情報サイト『SuperSport』の報道で明らかになった。
ナイロビ出身の22歳であるアドンゴは、7人制ケニア代表の経歴がある兄レオンを持ち、40メートルを4秒88で走るスピードを活かし、高校時代はWTBとしてプレー。身長198センチ、体重113キロと大型で、ベンチプレス200キロを上げるパワーも魅力とあって、高校卒業後は育成の名門シャークス・アカデミー(南ア)でFWとして4年間鍛えられ、昨年末にブルズと2年契約を結んでいた。LOとバックローでのプレーが可能で、2軍でのデビュー戦ではいきなり3トライと活躍し、今季スーパーラグビー期待の新人と注目されたが、過去3度の優勝を誇る強豪ブルズの2列と3列には、主将のNO8ピエール・スピースや、スプリングボクス入りしたLOジュアンドレ・クルーヘル、元U20南ア代表主将のCJ・スタンダーなどがおり、割って入ることができなかった。
『SuperSport』によれば、2軍でも傘下のクラブチームでも十分な出場チャンスを与えられなかったアドンゴは、6月にナイロビへ帰郷。しかしながら、東アフリカ遠征していたイングランドチームの対戦相手として地元チームに参加していたところ、たまたま会場にはウマンガがおり、アドンゴの素質にほれ込んで獲得に動いたという。
アスリートとしての身体能力が高く、“黒いソニー=ビル・ウィリアムズ”とも呼ばれる筋骨隆々のその男は、8月23日に開幕するITMカップ(ニュージーランド地区代表選手権)出場を目指す。そこで活躍すれば、来年はチーフスの一員として憧れのスーパーラグビーで大暴れできるかもしれない。
また、アドンゴは将来の南ア代表入りを夢見ていたとも言われているが、レースから一時脱線したことで、ケニア代表の道も視野に入ってきた。ケニアは、南ア代表以外で行われているアフリカカップの前王者であり(昨年はナンバー2のナミビアが不参加)、2015年ワールドカップ出場の夢が膨らんでいる。
だがもしかしたら、オールブラックスのセレクターが先に、ケニア産の金の卵を拾うかもしれない。