日本最高峰のトップリーグ発足以来、東芝は常に4強入りを続ける。08、09年度には同プレーオフ(PO)を制した強豪だが、昨季はPO、シーズンを締めくくる日本選手権とも準決勝で敗退。2季連続で無冠に終わっている。和田賢一監督は「今年は勝ちにこだわる」と語った。
国内きっての力強さを誇る東芝は前年度、新たに就任した和田監督のもとFWを強化した。今季で2年目となる指揮官は、「ブレイクダウン(ボール争奪局面)にこだわった。そこで(相手を集めて)スペースを(別の場所に)作ってボールを運んだ。去年でフィジカルラグビーのベースはできたと思っています」と振り返った。
ただ前年度は、敵陣ゴール前中央で相手の反則を受けた際も、タッチの外に蹴り出しラインアウトモールでの得点を狙っていた。指揮官はプレー選択を「選手に任せて」おり、NO8豊田真人主将は「たまに記者の人に『何であの時PGを狙わなかったんですか』と聞かれたけど、(PGを)狙う雰囲気が全くなかった。(常に自信のある)FWで行くんだ、と」。見方によっては、確実にペナルティゴール(PG)での3得点を狙うのが定石、とされる場面もあった。
新たなシーズンに向け、「ショット(PG)を狙う。エリア(陣地)を取る」と指揮官。試合運びにおける判断の質を高めたい、と話した。
「(昨年度は)FWが(疲れて)しんどい時にBKがボールを(グラウンドいっぱいに)回したり、逆にFWがモールにこだわりすぎてミスをしたこともあった。今年は勝つためのマネージメントをする」
30日、チームはNECとの練習試合に53−26で快勝(東京都府中市・東芝グラウンド)も、「今日はまだまだフィジカルなラグビーができなかった」と和田監督は言う。暑いなかでの試合とあってか、「前半は自分との1on1で負けていた。人任せになっていた」と感じた。7月16〜21日の長野・菅平合宿では個人鍛錬、7月24日〜8月5日の北海道・網走合宿では組織力強化に力を注ぐ。「2冠プラス、トップリーグ(のリーグ戦)1位を取りに行く」と宣言した。
(文・向 風見也)