購買戦略研究所に勤務する傍らプレーする奈良秀明
(撮影:向 風見也)
ラグビー男子7人制日本代表は3日、将来を担う選手の発掘のため関東地区のトライアウトを開催。おもに一般公募で集まった30人が東京・府中市の東芝グラウンドに集まり、体力測定やスキルセッションなどで汗を流した。
最年長の参加者は29歳の奈良秀明だ。タッチラグビーの日本代表だが、今年2月からコンタクトのあるラグビーにも挑戦している。「セブンスを見ていると、タッチラグビーと共通点が多い。融合できるんじゃないかと。その架け橋になりたい」と、今回の応募に至った。
東京都立忠生高時代は野球部員で、日本体育大入学後に転向。「日本代表にもなれる」との文言が入ったポスターに惹かれ、日体タッチというサークルの門を叩いた。ほどなくオーストラリア遠征を経験した。南半球の選手が見せる変幻自在な動きに触れ、より競技に没頭する。「野球は待ちのスポーツだけど、タッチではアクティブに動ける。むちゃくちゃフィットしました」。卒業後もオーストラリアに10カ月間留学し、郵便局勤務を経て2009年6月から1年間、ニュージーランドでプレーした。カウンティーズ・マヌカウの一員として、日本人で初めて州代表大会に挑んだ。「スピード、スキル、ステップ、組織…。全てが日本と違って気を緩められない状態だった。対戦していて面白いし、そいつらを破りたいという気持ちでした。がむしゃらかつ、考えながらやっていました。身体、ちっちゃいんで」。身長167センチ、体重66キロ。日本代表としては、ワールドカップに3大会連続で出場した。
この日のセレクションで行われた試合では、パスダミーと跳ねるようなステップを交えた動きでトライを決めた。ボール争奪局面の練習ではやや圧力を受けたが、本人は前向きである。
「ラグビーでのコンタクトの必要さを大いに感じた、いい1日でした。他の人との体重差もあるけど、小さい人でも(大きい相手)を倒せることはわかった。身体の使い方だったり、ポイントを掴んでいけば改善はできると思います。タッチの特性と瀬川さんの考えられていることをマッチングさせたいなと。折角こういう場を与えられているので日本代表を目指したい。2016年(リオデジャネイロ五輪・7人制)、2019年(15人制ワールドカップ日本大会)で、日本が勝つための人材をタッチからも育てていきたい」
東京ウォーリアーズに入ってラグビーリーグ(13人制)にも挑戦している。「同じ楕円なので」。タッチラグビーも続ける。
(文・向 風見也)