真壁(中央)ら、ラインアウト練習に取り組む日本代表FW陣
(撮影:BBM)
パシフィック・ネーションズカップ初戦の対フィジー(6月5日/名古屋)に向けてトレーニングを重ねているジャパン。合宿2日目の5月31日も、チームは午前中から精力的に動いた。
10時から始まった秩父宮での練習は、FWがウエートトレ、BKがユニット練習と別々に動き始め、11時からは、メニューが入れ替わった。そしてピッチに出てきたFWが取り組んだのは、昨日に続いてラインアウト。スポットコーチとしてチームに帯同しているサラセンズの現役LO、スティーブ・ボーズウィックが前日以上に熱の入った指導を見せ、選手たちは新たな刺激を受けた。
ひざ立ちの姿勢になったジャンパー役に、スローワー役が次から次にボールを投げ入れる。それを体を伸ばしてキャッチ、左右に正確にデリバリーするメニューから始まったセッションは、リフターがジャンパーを持ち上げた後、すかさず前へ出る練習へ移行。その後、移動しながらのシチュエーション別ラインアウト、瞬時のフォーメーション(並び)対応トレと、それぞれに割かれる時間は短かったものの、『キモ』を簡潔に伝える指導に選手たちは引き込まれた。
特にラインアウトの中核を成すLO陣の視線は鋭かった。前日の練習後にも話し込んでいた真壁伸弥は、「跳べないマカベを跳ばすための要素がたくさん(笑)」と、ひと言も聞き漏らさぬ姿勢で練習に臨んだ。
「新たな発見というより、あらためて基本の大切さに目を向ける感じなのですが、エディーさんが『世界で一番のラインアウト技術と理論を持っている人』と言っていたのが納得できるんです。(6月5日までのコーチング)期間も短いので、集中して学んでいます」
ベーシックなことだけど、最初から最後までやり通すし、言い続ける。その徹底に凄味を感じると言う。
「連続してキャッチ、デリバリーする練習はサントリーでもやっているのですが、細かい部分までアドバイスしてくれる。『脇を締めて、狭いフィールドで獲りに行け』、と。ジャパンでも、跳び方に関してはバラバラなところがあったんですが、『こうするんだ』とスバリ言ってくれるから、やるべきことが明確になるんです」
前日の練習後に個人的に話した内容は、こんな感じだった。
「ジャンプのイメージを持っていないようだから、まずはそれを作れ、と。で、シャケが川で跳ね上がるみたいに、と言われました(笑)。なんとなくわかりますよね? 初速だけで上がりきる感じでしょうか」
所属するサントリーで今季から主将に就いたが、ジャパンでの日々が続くためチームから離れっぱなし。普通なら気になって仕方ないところだろうが、あえてチームとのコンタクトは断っている。
「ジャパンにいる間はジャパンに集中、です。サントリーはコーチ陣も素晴らしいし、昨年から試合に出ている経験豊富な人たちも多い。直弥サン(大久保監督)や剛サン(有賀副将)も『任せとけ』って言ってくれているので。(ジャパンでの活動を終えサントリーに)合流するとき、負けてないようにしないと」
大きくジャンプアップしてサンゴリアスに戻る決意は固い。