2011年に秩父宮でセブンズフェスティバルの笛を吹いたダナ・ティーガーデンさん
(撮影:松本かおり)
男子U20日本代表も参加して、6月18日から同月末までアメリカのユタ州ソルトレイクシティで『IRB ジュニア・ワールドラグビートロフィー(JWRT) 2012』が開催されるが、今回は史上初めて、女性レフリーが大会パネルに選出されたことでも注目を集めている。
歴史的瞬間を待つのはアメリカ人のリア・べラードさん。自身も女子ウィスコンシン州代表などのバックス選手としてプレーした経験を持ち、現在はレフリーとしてグラウンドの中央に立つ。南アフリカのステレンボッシュで開かれたIRB(国際ラグビーボード)主催のレフリー育成プログラムを修了し、JWRTでは日本から参加する久保修平レフリーら8名の男性に並び、アシスタントレフリーのひとりとして任命された。
試合を厳格かつ円滑に進行させる重要な役割を担うようになってから約6年。国際舞台での経験も着実に重ねており、今年の香港セブンズ(女子の部)では、史上最年少の21歳でIRB主催大会のレフリーとなったニュージーランド人のブリジット・タイラーさんらとともに笛を吹いた。
2016年のリオデジャネイロ大会からオリンピック競技として7人制ラグビーが正式に採用されることとなり、女子ラグビーの競技人口は急増している。IRB発表によれば現在、世界100カ国以上で20万人以上の女子選手が楕円球に親しんでおり、4年後には倍増も夢ではない。
よって、当然女子レフリーの育成もラグビー界の重要課題であり、2007年のIRBセブンズ・ワールドシリーズ(サンディエゴ大会)で笛を吹き、国際試合決勝で男子試合を担当する初めての女子レフリーとなったダナ・ティーガーデンさん(アメリカ人)に続き、べラードさんにもさらなる活躍が期待される。
ラグビー界で大きな足跡を残した女性レフリーはほかにもおり、2007年に英ベルファストで開催された男子U19代表による15人制の世界選手権でジャッジを務めたのは、オーストラリア人のサラ・コーリガンさんだった。2009年には、JWRTの補佐要員だったケニア女性サラ・オティエノさんが大会期間中にアシスタントレフリーに昇格している。2009年アジア5カ国対抗のキルギス対モンゴル戦(アジアラグビー協会主催)では、香港のガブリエル・リーさんが初めてシニア男子ゲームで笛を吹き、上記のティーガーデンさんは2010年12月18日のオランダ対香港戦で、男子テストマッチのレフリーとしてIRBから任命された初めての女性となった(雪によるピッチ凍結で試合はキャンセル)。
昨年12月に「IRB ウィメンズ・セブンズ・チャレンジカップ」が新設されたように、女子ラグビー大会は増えてきた。来年はロシアでワールドカップセブンズ、2014年にはフランスで第7回女子ワールドカップ(15人制)、そして2016年はオリンピックが待っており、選手同様に厳しいトレーニングを積む女性レフリーたちも、これからますます輝くことだろう。