ヨーロッパ最強クラブを決める「ハイネケンカップ」の決勝戦が現地時間19日、イングランドのトゥイッケナム・スタジアムに大会歴代最多となる81,774人の大観衆を集めて行われ、アルスターとのアイルランド勢対決を42−14で制したレンスターが、2季連続3度目の栄冠に輝いた。連覇達成は、2001年と翌年にレスター・タイガース(イングランド)が成し遂げて以来2チーム目で、この4年間に3度の欧州制覇は快挙である。
試合は、1999年以来2度目の優勝を狙ったアルスターが前半7分にSHルアン・ピナールのペナルティゴール(PG)で先制した。しかし5分後、レンスターは敵陣22メートル内のブレイクダウンでターンオーバーに成功し、左へ展開後、縦突進を重ねてゴールに迫り、FLショーン・オブライエンがトライ。FW戦では、元オールブラックスのPRジョン・アフォアが出場停止処分から復帰したアルスターに分があると思われたが、レンスターは31分、敵陣10メートルでの相手ボールスクラムをターンオーバーすると、CTBブライアン・オドリスコルの巧みなオフロードパスからFLオブライエンがゴール前まで一気に抜け、PRシアン・ヒーリーのトライを演出した。
相手の手強いディフェンスをなかなか崩せないアルスターは、前半終了間際にPGを1本追加し、14−6と8点差に詰めてハーフタイムへ。
ライバルの勢いを止めるためにも、後半の先手を取りたかったアルスターだが、44分、ペナルティトライを宣告され、相手に7点を与えたのは痛かった。互いにPGを1本ずつ決め、60分にアルスターLOダン・トゥーヒーがゴールへ駆け抜けて食い下がったが、流れは変わらず。その後、レンスターはSOジョナサン・セクストンが着実にPGを重ね、終盤には途中出場のPRハインケ・ファンデルメルヴァとHOショーン・クロニンもファイブポインターとなり、ハイネケンカップ決勝では最多となる28点差で前チャンピオンが再び王座についた。
レンスターはセルティックリーグ(ラボダイレクト・プロ12)の決勝戦にも残っており、2冠の期待がかかる。
なお、短期間の助っ人としてレンスターに参加していた福岡サニックスブルースのLOブラッド・ソーンは、ハイネケンカップ決勝でプレーした最年長選手(37歳3カ月16日)となっただけでなく、「ワールドカップ(W杯)」「南半球スーパーラグビー」「欧州ハイネケンカップ」という、国代表戦とクラブ戦の最高峰大会を3つすべて制した歴史的選手となった。元オーストラリア代表のSOロッド・ケイファーが1999年W杯と、2001年スーパー12(ブランビーズ)、2002年ハイネケンカップ(レスター・タイガース)で金メダルを獲得しているが、3大会とも決勝戦に出場して優勝を勝ち取ったのはブラッド・ソーンが初めて(2008年スーパー14=クルセーダーズ、2011年W杯=NZ代表、2012年ハイネケンカップ)。さらに、13人制のラグビーリーグでもブリスベン・ブロンコス時代に世界最高峰リーグといわれるNRLを制しており、前代未聞の大偉業をやってのけた。
【関連記事】
サニックスの元NZ代表ソーン 欧州王者レンスターに短期加入
http://rugby-rp.com/news.asp?idx=101897&code_s=1003