国内テストマッチ最年少出場記録を18歳7カ月27日で更新したWTB藤田慶和が6トライした。2012年5月5日、福岡レベルファイブスタジアム。「アジア五カ国対抗 2012」第2戦で、日本はUAEに106−3で勝った。もっとも、指揮を執り2戦目のエディー・ジョーンズヘッドコーチは「前半、ルーズな点があった」。豊富な運動量での多角的な攻撃を志すも、序盤は繋ぎでミスを重ね選手は反省する。パスの出し手と受け手のイメージが少し違った。密集で、出し手を邪魔する相手を他の仲間が放置していた、と。そんな折の29分、攻め込んでからのこぼれ球を拾われ、大きな突破を許した。
それを防ぐは、先発中最年長のLO大野均だ。敵陣22メートルエリアからハーフ線付近まで戻ってタックルした。「(周りを)見たら自分しかいなかった。追いついてよかった」。接点での仕事内容をチームで修正した後半は、概ね黒子役として66得点を導いた。
急成長する新しい集団には、危機を防ぎ好機を作る下働きが不可欠なのか。FB五郎丸歩副将にも「勉強になります」と尊敬される大野は、「まずはエディーさんをがっかりさせたくない」。翌日、34歳になった。
(文・向 風見也)