東日本大学セブンズで優勝した筑波大の選手たち
(撮影:松本かおり)
薄暗くなったピッチで、スカイブルーのジャージーが最後に拳を突き上げた。恒例の東日本大学セブンズが4月22日、秩父宮ラグビー場で行われ、筑波大が明大に33-17のスコアで快勝して頂点に立った。
昨年の大会でもファイナルに進出したものの、東海大に24-26の僅差で破れた。その悔しさを「本当に悔しくて」と忘れられなかった彦坂匡克が今大会のキャプテン。秘めた思いを晴らすように強気で走り続けた。
「個人的にもラストイヤーでタイトルを獲りたかったし、YCACセブンズでも準優勝と悔しい思いをしていたので絶対に優勝したい大会でした」
思い描いていた通りに最後まで勝ち進み、「今日は(古川拓生監督に)焼肉をごちそうしていただけると思います! この結果を15人制での成功にもつなげたい」と会心の笑顔だった。
優勝までの足取りは見事だった。彦坂主将を筆頭に、山下一らスピードランナーをそろえたチームは決定力抜群。FWの園中良宏、粕谷俊輔らの仕事ぶりも光り、片桐康策−松下真七郎コンビのゲームメイクも冴えた。初戦で道都大を35-0と圧倒したチームはその後、立教大に47-0、流通経済大に43-0と加速し、決勝まで失点0という完璧な内容で勝ち上がる。明大には先制を許し、前半を7-17とリードされたが、後半にフィットネスの高さとコミュニケーションの良さを披露していっきに逆転、引き離した。
2月のウェリントン・セブンズから3月31日、4月1日の東京セブンズまで、セブンズ日本代表の一員として世界を相手に戦ってきた彦坂主将は、その経験も今回の優勝と無縁ではなかったと語った。
「きょうのチームは、『ディフェンスから』と意識を高めたんです。7人制というとスペースが広いので、防御もつい広がって守りがちなんですがそれだと崩されやすい。だから(7人制)ジャパンでもそうですが、コンパクトに防御ラインを作って、その形を崩さずに守っていくことを徹底した。その成果が出たと思います。また個人的には、やはり海外の代表選手と戦うときよりは余裕をもって対応できたと思います。もちろん、各チームにいい選手がいて手強かったですけどね」
優勝に一歩届かなかったが、3大会ぶりにファイナリストとなった明大は、普段はスーツ姿で戦況を見守る吉田義人監督自らトラックスーツ姿で陣頭指揮。「最初は自信がなかった選手たちが勝利を重ねるごとに成長していったことが感じ取れた」と手応えをつかんだ。
チームは1週間前にセブンズ用スコッドとして約25人を選出。吉田監督の指導のもと練習を重ね、その中から今大会のメンバーを2日前に決めた。攻守ともにスピードとセンスを見せた山口修平は、視察に訪れていた瀬川智広セブンズ日本代表ヘッドコーチの目にも止まる活躍。まもなく始まる春の関東大学交流戦へ向け、チームにも好影響を与えそうだ。また吉田監督は、今季の主将を「全部員が揃う金曜日(4月27日)に発表したいと思っています」と明かした。
1回戦の敗者間で争われるコンソレーションでは、堀越正巳監督率いるオレンジのジャージーが躍動した。初戦の日大戦こそ10-26と落とした立正大だったが、昨季から取り組んでいるランニング・スタイルのラグビーがより一層、チームに浸透。青学大を26-0と寄せ付けなかった決勝も、最後まで走り抜いた。
チームの意識改革を進めてきた堀越監督は、残した結果を称える一方で、その内容を評価した。
「今季は走ることの徹底に加え、ディフェンスを高めようと言ってきたんです。その成果が見られたのが嬉しいですね(コンソレーションで日体大に43-0、慶大に35-0、大東大に21-12、青学大に26-0と4試合中3戦完封)」
アタックセンスの高い早川直樹が走りまくった。加藤侑耶はディフェンスの先頭でチームを引っ張った。収穫の多い一日だった。