フィリピン代表のアジア5カ国対抗トップ5入りに貢献したCTBマット・サンダーズ
(写真提供:アジアラグビー協会)
アジア5カ国対抗戦のディビジョン1(2部リーグ)は21日、フィリピンの首都マニラで最終節の2試合が行われ、スリランカとの全勝対決を28−18で制した地元フィリピンが、初優勝とともに来季トップ5(1部リーグ)への昇格決めた。
2008年に始まったアジア5カ国対抗で、フィリピン代表はディビジョン4(5部リーグ)からスタート。近年はトップリーガーを輩出するなど母国のラグビー熱は高まってきており、火山のような爆発力を秘めて「ボルケイノス」と呼ばれるナショナルチームは、来年ついに日本代表にチャレンジする。
昨季トップ5を経験しているスリランカと対戦したフィリピンは前半、NTTコミュニケーションズへの入団が決まっているSOオリバー・サンダーズのペナルティゴール(PG)3本成功で主導権を握った。その後、昨季まで豊田自動織機に在籍していた主将のFBマイケル・レッツがトライを奪い、さらにWTBジョー・マシューズが1本追加で、23−3と大差をつけて前半を折り返した。
しかし後半に入ると、元イングランド代表のフィル・グリーニングHC(ヘッドコーチ)率いるスリランカが猛追。前半にトライを挙げたフィリピン代表WTBマシューズがイエローカードを受けて一時退場している間に、2トライ1ゴール1PGで23−18と、ゲーム時間13分を残して5点差に迫った。しかし、約4000人の地元サポーターから大声援を受けたボルケイノスは目を覚まし、CTBジャスティン・コヴェニーが力強い走りからディフェンス突破で勝利を決定づけるトライを決め、粘るスリランカを振り切った。
なお、フィリピン代表は今大会3試合で99得点を記録したが、その内79点は3組のスター兄弟、サンダーズ(オリバー&マット)、レッツ(マイケル&ジェイク)、マシューズ(ジョー&ルーク)が奪ったものだった。U20代表ではベン・サンダーズとダニエル・マシューズが育っており、将来性豊かなこの3ファミリーが来年も揃って躍動するのは間違いなさそうだ。
フィリピン代表のエクスポ・メジアHCは、「今日はフィリピンの人々の勝利。多くの方々が応援に来てくれて、選手は国のために懸命にプレーした。精度を高めねばならない部分は確かにあるが、このチームはトップ5にとどまる才能を持っている」と、喜びに浸りながら、来年への自信をのぞかせた。
3位決定戦では、中華台北が49−31でシンガポールに勝利。ディビジョン1残留を決めるとともに、2015年ワールドカップ出場へ望みをつないだ。一方、2009年にトップ5を経験しているシンガポールは0勝3敗で最下位となり、ディビジョン2(3部リーグ)への降格が決まり、4年後のワールドカップ参戦の夢は消えた。
そして、日本代表が出場するアジア5カ国対抗トップ5は、今月27日にUAE(アラブ首長国連邦)と香港の間で開幕し、翌28日に、エディー・ジョーンズHC率いる日本代表は敵地でカザフスタンと対戦する。
(情報・写真提供:アジアラグビー協会)
スリランカ戦で勝負を決定づけるトライを決めたCTBジャスティン・コヴェニー
中華台北戦で2トライを挙げたフィリピン代表WTBルーク・マシューズ