ラグビーリパブリック

東福岡×石見智翠館 ミスで接戦も慌てず

2012.04.07

 挑戦者が王者に抗い接戦を演じたようだった。実相はいかに。
 2012年4月7日、埼玉は熊谷ラグビー場での全国高校選抜大会決勝。春冬通じて初のファイナリストだった石見智翠館が、冬の大阪は花園ラグビー場での全国大会で3連覇中の東福岡を相手に4回、リードを奪う。結局、前年度のチャンプが24−22で勝ち、春の大会の3連覇を果たす。それを受け、「(両者間に)点差以上の力の差はあったと思います」。敗れた安藤哲治監督は漏らすのだった。
 東福岡は今大会中、選手が「もっと正確にプレーしたい」と課題を口にし、この日も落球し続けた。また「自分たちのミス」で失点したとFL廣川翔也。2分前に12−12の同点とした23分、接点付近でのパスをさらわれ、相手のWTB竹中太一に勝ち越された。前に出る守備を向こうに、ややばたついた。
 それでも白星は収めた。失敗を引きずらず、知恵と鍛えた肉体を持つFWがモールで3トライを挙げた。後半3分には大きく突破を許すも、自陣ゴール前で球を奪った。そうして安藤監督に「力の差」を認めさせた。彼我の力量差を見極めた東福岡が余裕を持って、辛勝したのである。


(文・向 風見也)

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