熱心に高校生の指導にあたった7人制南ア代表カール・ブラウン主将
(撮影:松本かおり)
3月31日、4月1日に秩父宮ラグビー場で開催されるHSBCセブンズ・ワールドシリーズ『東京セブンズ』。同大会に出場するセブンズ南アフリカ代表が3月28日、ラグビークリニックを行うために東京・巣鴨の本郷高校を訪れた。同校には府中西高、東京農大一高、高岡第一高(富山)、鹿児島実も合同キャンプに訪れており、各高校の部員たちは大喜び。本郷中学の部員も含め、約150名が世界トップクラスの選手たちからコーチングを受けた。
同校にはモハウ・ペコ駐日大使も訪れた。選手たちがグラウンドに到着する前に挨拶した同大使は、高校生たちにこう話しかけた。
「2019年のW杯に、皆さんの中から日本代表選手が出ることを楽しみにしています。でも、優勝するのは南アフリカ代表でしょう(笑)。決勝の相手がジャパンであることを祈ります」
大使は、さらに言葉を続けた。
「みなさん一人ひとりがチャンピオンです。これからそれぞれの世界で活躍していくことを祈念しています」
部員たちは大使の言葉に深く頷き、代表選手たちの到着を待った。
まもなく訪れたセブンズ代表選手たちの姿を見ると、高校生たちの瞳が輝いた。高岡第一高の吉田先生は言った。
「富山はまだまだ雪が深く、こんなにいいコンディションの中での練習は久しぶりです。それだけでも有り難いのに、南アフリカの選手たちに指導を受けられるなんて…。子どもたちの顔が輝いているんですよね。普段は大人しい子どもたちなのに、やはり刺激を感じているんですね」
スター選手のセシル・アフリカは香港大会で負った膝の怪我のため帰国の途についたが、カール・ブラウン主将ら12人はにこやかに、そして精力的にコーチングを行った。いくつかのグループに分かれてのセッションは、タックルあり、パスあり、抜き合いありと、それぞれの担当選手の個性が出るものに。ブラウン主将のグループはハンドリングを中心に練習に取り組み、1時間強のうちに、徐々に人数を増やし、難度を高めていった。そのコーチングスキルはお見事で、次々と変更する視点に高校生たちの集中力も保たれ、充実した時間はあっという間に過ぎた。
今回の練習には7人制日本代表の次期指揮官、瀬川智広氏も視察に訪れていた。同氏は南アの印象について、こう語った。
「7人制ジャパンに帯同してアメリカ以後の大会で各国の練習を見てきましたが、南アの練習はいつも、とても参考になる。セブンズのいろんなシーンを切り取って練習して、そこで何をするのか全員が共有できている。ただ才能にまかせてやっていないからタメになるんです。サイズの小さな選手が多いから、とてもよく考えられたプレーが多い印象です」
1時間強のセッションを終えたカール・ブラウン主将は、「日本の高校生たちが、こんなレベルの高い中でプレーしているなんて知らなかったよ。僕たちにとっても刺激になった」と、異国の地での体験を振り返った。もともとウェスタン・プロヴィンスでプレーし、将来を嘱望されたブラインドFLだったが、2008年シーズン以降はセブンズに専念している同主将。大会に向けてのコメントをもらうと、穏やかに決意を込めた。
「スピードと、各選手の個性を活かしたプレーがうちのチームの持ち味。そして、いろんな個性で切り開いていける。今週末の大会を楽しみにしていてよ」
離脱したセシル・アフリカの代わりに、経験豊富なレンフレッド・デイゼルを招集した南アフリカは、3位だった香港セブンズ以上の成績にターゲットを絞り込んでいる。
ペコ大使は、南ア全選手のサインが入ったジャージーを受け取り笑顔、また笑顔
(撮影:松本かおり)