優勝したサントリーも反則で球を失いはした。が、敗れたパナソニックのCTB霜村誠一主将は「やろうとしていること、人がバラバラ」。いざ攻めようにも、練られていたはずの型がしばし機能不全に陥った。ミスが起こった。2012年3月18日、東京は国立競技場。クラブの体制の変化と主力の相次ぐ負傷で苦しみつつ日本選手権決勝戦に進んだチームにあって、敗れたFB田邉淳は語る。
「うちのバラバラ感が最後に出た」
一方、勝者は、攻守の起点のラインアウトで優勢に立った。競る場所を決めるリーダー役はLO篠塚公史の役目だが、この人の欠場時はFL佐々木隆道が代役を務める。揃って出場したこの日、「自分たちの感覚でリーダー(篠塚)を中心に話し合って、対応できた」。攻撃時は「僕のサインじゃない時も空いているところを見たり」と、自身がリーダーをして築いた感性も活かす。相手ボールも再三、奪う。向こう側の投入役、HO堀江翔太は天を仰いだ。
危機を未然に防ぎ、好機の失敗は最小限に止めたサントリー。当事者が「バラバラ」だと認めるパナソニックを21−9で下し、2月までのトップリーグに続き2冠を達成した。
(文・向 風見也)