大学選手権3連覇中の帝京大を相手に、東芝は後半10トライを奪った。2012年3月4日、埼玉の熊谷ラグビー場での日本選手権2回戦。86−19で大勝した。
両者の力量差が明確化するなか、日本最高峰のトップリーグ上位チームと学生クラブが公式戦を行う意義は。ファン、関係者の間でしばし上るそんな議題をも東芝は蹴散らした。和田賢一監督は、「相手に関係なく、やってきたことをぶれずにやりきる。身体を当ててリズムを掴む」ことを目指した。それはいつも通りだった。さらに24−14で迎えたハーフタイム、指揮官は「全員がボールを貰って、ペネトレイト(前進)していい」などの助言をした。チームの哲学に基づき、必要最低限の修正を施したのだ。結果、選手は力走した。
11日、東京の国立競技場でトップリーグ王者のサントリーと準決勝を戦う。抱負を聞かれた和田監督は、「接点で相手を押し込む。下げる」。簡潔な指針のもと直進するクラブを前に、来年度から入部する相手のSO森田佳寿主将も呟くのだ。
「最後の最後までやり切られる。そういうチームのスタイルに、すばらしいという気持ちを感じました」
(文・向 風見也)