南アフリカ・ラグビー協会は27日、ケープタウンで通常理事会を開き、東ケープ州最大都市ポートエリザベスに本拠地を置く「サザン・キングス」が2013年からスーパーラグビーに参戦することを満場一致で確認した。
南アフリカ協会は、キングスが“南ア第6のチーム”として南半球最高峰大会に加われるよう、SANZAR(スーパーラグビーを統轄する南アフリカ・ニュージーランド・オーストラリアの連合組織)で協議を進めていく方針。しかし、現在は3カ国から5チームずつが参加して全15チームで行われており、大会の長期化による選手の負担増も問題視されていることから、『スーパー16』への拡大には反対意見が強い。
スーパー16の提案が却下された場合、現在スーパーラグビーに参戦している南ア勢“ビッグ5”の、ブルズ、ライオンズ、チーターズ、シャークス、ストーマーズのうち、1チームがキングスと入れ替わらなければならず、反発が予想されるなか、3月30日の特別会議でメカニズムは明らかになる見込み。今季のスーパーラグビーで南ア勢の最下位になったチームが脱落する可能性もあり、その翌年からは入替戦を採用するプランもあるという。
サザン・キングスは、国内ユニオンのEPキングスを母体にし、ボーダー・ブルドッグスとSWDイーグルスの優秀選手も合わせて構成されるが、いずれも2部リーグ所属のチームであり、ビッグ5との力差は歴然だ。8月中旬から10月末にかけて開催される国内最高峰選手権「カリーカップ」が除外チーム選定の大会となる可能性もあるが、1部リーグに属するビッグ5はサザン・キングス(EP、ボーダー、SWD)との直接対決はない。
2005年から“南ア第6チーム”の動きは始まったが、財政的な問題を抱え、南ア協会と対立した過去がある(当時はサザン・スピアーズとして)。今回のキングス参入決定の背景は、人種問題や政治色が強く、反アパルトヘイト活動家と知られるダニエル“チーキー”・ワトソン氏(息子は元南ア代表ルーク・ワトソン=キングス主将)を中心に、「黒人ラグビーの発展と黒人社会におけるラグビー人気拡大」を旗印として掲げ、スーパーラグビー参入への働きかけを強めていた。2010年まで14チームで行われていた同大会は、2011年から『スーパー15』に拡大することとなり、キングスは新規参入の有力候補だったものの、同じく参入を目指していたメルボルン・レベルズ(オーストラリア)との最終一騎討ちに敗れていた。
<ビッグ5のスーパーラグビー戦績 = 1996〜2011>
● ブルズ (優勝:3回、ベスト4:3回、最下位:3回/本拠地:首都プレトリア)
● シャークス (準優勝:3回、ベスト4:3回、最下位:2回/本拠地:人口2位の湾岸都市ダーバン)
● ストーマーズ (準優勝:1回、ベスト4:3回、最下位:0回/本拠地:世界的観光地ケープタウン)
● チーターズ (ベスト4:2回、最下位:4回/本拠地:オランダ系白人多いブルームフォンテーン)
● ライオンズ (ベスト4:2回、最下位:5回/本拠地:国内最大都市ジョハネスバーグ)
※ ライオンズとチーターズは合同チームであったキャッツ時代を含む。