接戦の後半34分、自陣22メートルエリアゴール正面の位置。帝京大FB竹田宜純が、10分間の退場処分を受ける。SO森田佳寿は円陣を組む。「時間帯、ペナルティを与えた所からポイントと思いまして。1人いないことの対応策、気持ちの部分のことを話しました」。同志社大WTB宮島裕之のペナルティゴールで逆転されたが、直後のキックオフ、このクラブの長所のFW陣が突っ込んだ。相手の反則もあり敵陣ゴールライン手前まで侵入、最後はSH滑川剛人がトライした。18−12の結果を背に、森田は無表情だった。
2011年12月25日、秩父宮ラグビー場での大学選手権2回戦。82〜84年度こそ3連覇も今季2年ぶりの出場となる同志社大に対し、現在2連覇中で下馬評有利の帝京大は失敗を繰り返した。何度もリードされた。が、「負けるかもしれない、負ける訳がないとも思わず、これまでやってきたことに戻る」と主将。最後は、「1人いないことの対応策」の一つとして「BKが1人いないことから、我々の強みであるFWで行こう」と判断した。「悲観的には捉えるつもりはなく、でも反省点が多く」。直後の記者会見でも能面の顔つきだった。
(文・向 風見也)