2011ラグビーワールドカップNZ大会は23日、オークランドのイーデンパークで決勝戦が行われ、開催国ニュージーランドが8-7でフランスを破り、6大会ぶり2度目のワールドカップ王者に輝いた。
前半15分、ニュージーランドは相手22メートル内でラインアウトチャンスを得、ボールキャッチしたFLカイノからPRウッドコクへのサインプレーが決まり先制トライを獲得した。
ともに世界最高峰のルースFWを擁し、ブレイクダウンでやられたらやり返す南北宿命のライバル。ハーフ団のキック戦術も好調で、激しい競り合いが続いた。
しかし、フランスはゲームメーカーのSOパラが23分に負傷でベンチへ下がると、対するニュージーランドも34分、SOクルーデンがタックルを受けた際に右膝を痛め退場するという波乱の展開に。
フランスは36分、途中出場SOトゥラン=デュックがドロップゴールを放つも失敗で、前半は無得点に終わったが、ニュージーランドはSHウィップーのプレースキックが絶不調で3本すべてを外し、5-0の僅差で前半40分を折り返した。
後半に入り、フランスは早々にペナルティゴール(PG)のチャンスをつかんだが、SHヤシュヴィリが失敗。逆にニュージーランドは46分、途中出場のSOドナルドが10メートル内側正面のPGを確実に決め、重苦しい空気を変えた。
ところがその1分後、ニュージーランドSHウィップーの不注意なキックパスをフランスのトゥラン=デュックがインターセプトすると、一気にゴール前まで迫り、最後は主将FLデュソトワールが反撃のトライを奪った。ゴール成功でたちまち1点差。波に乗るフランス。前半から続く低く鋭いタックルは威力を増していった。ボール支配、テリトリー獲得でもニュージーランドを上回り、“挑戦者”の押せ押せムードは続く。
そして65分、フランスはハーフウェイ付近で逆転PGチャンス。しかし、トゥラン=デュックは右へ外した。
それでも相手陣内で怒涛の攻撃をやめないフランスだったが、77分、ノッコンでニュージーランドボールのスクラムへ変わる。運命のラスト3分。ニュージーランドはワイド展開せず、FW前進でボールを確実にキープした。フランスはたまらず反則を犯し、フランス陣内10メートルでのラインアウトへ。ニュージーランド最後のセットプレーは、HOホアからのスローインボールをLOソーンが確実に獲得し、モールで前進。なす術がないフランスはオフサイドの反則。大歓声が起こるなか、ニュージーランドのSHエリスがボールをタッチへ蹴り出し、レフリーのクレイグ・ジュベール氏が試合終了を告げる笛を吹いた。
ニュージーランドは1987年の第1回大会以来、2度目のワールドカップ優勝。1999年、2007年と苦杯をのまされたフランスにリベンジを果たし、主将マコウがオールブラックスのキャプテンとして、24年ぶりにエリスカップを母国の空に向かって掲げた。敗れたフランスは、3度目のワールドカップ決勝戦も勝利の女神は微笑まなかった。しかし、プール戦で2勝2敗と苦しみながらノックアウトステージでは見事に息を吹き返し、世界最強王者を1点差まで苦しめたプライドと勇気に、歴史的一戦を見守ったイーデンパークの超満員6万1079人の観客は盛大な拍手を贈っていた。
(文・竹中 清/オークランド)