ニュージーランドで開催されているラグビーワールドカップは8日、オークランドで準々決勝第2試合が行われ、プール戦で最も苦戦していたフランスが見違えるようなキレのよさでイングランドを19-12で破った。フランスはこれで5大会連続の4強入り。一方、プールBを全勝で通過し、2003年大会以来2度目の優勝を狙ったイングランドだが、ウィルキンソンとフラッドのW司令塔は機能せず、セットプレーでも苦戦し大会から姿を消した。
前半はフランスが敵陣でボールをキープし続け、11分、SHヤシュヴィリが約45メートルのペナルティゴール(PG)を決め先制した。ブレイクダウンでも強さが光るフランスは相手につけ入るすきを見せず、16分、PGで点差を広げる。フランスは変幻自在のランだけでなく、SHヤシュヴィリのキックを織り交ぜた巧みな戦術でイングランドにプレッシャーをかけ続けた。すると21分、イングランドのラインアウト失敗からチャンスをつかんだフランスは、SOパラとCTBメルモズのサインプレーが決まり、左サイドでパスを受けたWTBクレールが柔らかい身のこなしでタックル4人をかわし、トライを獲得した。
残り時間はまだ60分近くあり、差は11点ながらイングランドは焦りを見せ始め、敵陣に入ってもパスが乱れてチャンスをつぶしてしまう。逆にイングランドのディフェンスをあざ笑うかのように攻め続けたフランスは32分、22メートル内ライアンアウトからゴール前まで進むと、アドバンテージをもらい大胆な攻めで大きく左へ展開、ライン際でのWTBパリソンの粘りからFBメダールが2本目のトライにつなげた。
前半終了間際、イングランドは22メートル内で流れのよいビッグチャンスを2度つかんだが、パスミスで得点できず。フランスが16-0と大きくリードしてハーフタイムへ。
後半立ち上がり、イングランドは22メートル内に入りモールで押すが、ノッコンでチャンスを逸す。しかし相手がハーフ団を変えた直後の55分、FBフォーデンがトライを返して9点差に(ゴール成功)。それでも、スクラム、ラインアウトのセットプレーでもフランスが優位に立ち、73分には途中出場のSOトゥラン=デュックがドロップゴールを決め流れを引き戻した。
イングランドは77分、フラッドのグラバーキックからWTBクエトーが執念でトライをねじ込み7点差としたが、80分間集中力が途切れなかったフランス相手にミラクルを起こすことはできず、試合終了。
ヨーロッパ勢による準々決勝2試合は、いずれもプール戦を2位で勝ち上がったチームの勝利。下剋上を狙うフランスとウエールズは15日に対戦し、ウエールズが勝てば初の決勝進出。よみがえったフランスが快進撃を続ければ1999年以来3度目の優勝王手となる。
(文・竹中 清/オークランド)