ラグビーリパブリック

残り3分の逆転劇 イングランドが脱落の危機から逃れる

2011.10.01

 両チームにとって、負ければ史上初のワールドカップ1次リーグ敗退が濃厚となる大一番は、前回大会2位のイングランドが16-12で宿敵スコットランドに逆転勝ちし、4勝0敗のプールB・1位で準々決勝進出を決めた。キック戦術で主導権を握り、後半77分までリードしていたスコットランドだが、相手WTBアシュトンのトライで夢は砕かれた。7点差以内の敗戦によるボーナスポイント(BP)1点獲得で、トーナメント進出にわずかな望みはつながったが、世界ランキング14位のグルジアが前回大会3位のアルゼンチンにBPを与えず勝利することがミラクルの条件であり、スコットランドの8強入りは厳しくなった。


 


 1871年からの長い歴史を持つ伝統国対決は1日、小雨降るオークランドのイーデンパークで行われた。
 前半9分、スコットランドがFBパターソンのペナルティゴール(PG)で先制。右太もも裏を痛めた司令塔ジャクソンに替わり途中出場したSOパークスがPGとドロップゴール(DG)を追加したスコットランドに対し、イングランドは黄金の左足に陰りが見え始めるSOウィルキンソンが前半だけで3本のPGをを外し、9-3とスコットランドが6点リードしハーフタイムを迎えた。
 イングランドはスクラムで苦戦し、セットプレーからチャンスを作れない。一方、守備力を武器に接戦を制したいスコットランドは、スクランブルディフェンスでダイナミックなイングランドのバックスを抑えると、SOパークスのキックも冴え、幾度もピンチを脱した。



 後半に入り、スコットランドがPG1本、イングランドがPGとDGを1本ずつ追加し、スコットランドが3点リードのままラスト10分の死闘に突入する。
 時計は進み、あと3分守りきれば、因縁のライバルから3年ぶりの勝利を獲得すると同時に、スコットランドには準々決勝進出への扉が広がるはずだった。しかし77分、相手陣内10メートル付近でペナルティを得たイングランドは同点ゴールを狙わず、ラインアウトを選択。モールドライブで前進後、22メートル内中央から途中出場SOフラッドが右へロングパスを放ると、サイドラインに構えていたWTBアシュトンが一気にゴールへ走り込み、逆転トライを挙げた。
 沈む間もなくリスタートしたスコットランドだったが、反撃の時間はわずかしかなく、無念のファイナルホイッスル。


 

 苦しみながらも全勝でプールBを通過したイングランドは8日、準々決勝でプールA・2位のフランスと対戦する。他力本願のスコットランドは、グルジアの歴史的勝利を願うのみとなった。


 

Exit mobile version