ニュージーランドは北島の、酪農業の研究都市として知られるパーマストンノース(アリーナマナワツ)で28日、ラグビーワールドカップのプールB「グルジア対ルーマニア」戦が行われ、25-9でグルジアがフィジカル戦に勝利した。ルーマニアは0勝4敗で今大会を終了した。
4トライ以上を獲得して勝利すれば、準々決勝進出にわずかな可能性を残したグルジアだが、東ヨーロッパでしのぎを削るライバルのルーマニアが相手とあって、序盤から手堅くキックで得点を重ねた。絶対に勝たねばならない試合だった。
両国はこれまで16度対戦し、ルーマニアの9勝7敗。1987年の第1回大会からワールドカップに連続出場しているルーマニアに対し、グルジアは2003年大会が初出場と後れを取った。しかし、近年はグルジアが優勢で、互いに参戦する欧州ネーションズカップでの過去5年の優勝は、グルジアが3回、ルーマニアが2回。ニュージーランド行きの切符を欧州予選1位で勝ち取ったのはグルジアであり、ルーマニアは敗者復活での本大会出場だった。
前半9分、SOクヴィリカシヴィリのペナルティゴール(PG)でグルジアが先制した。しかし3分後、ルーマニアはSOドゥンブラヴァのPGですぐに同点に追いつく。その後、グルジアが3本、ルーマニアが1本、ポストの間にキックを決め、前半は12-6でグルジアがリードした。
後半に入ってもこう着状態は続いた。激しい肉弾戦でハンドリングエラーが多発し、互いに不安定なラインアウトでチャンスを逸した。しかし、迎えた後半56分、グルジアはフェーズを16回重ねゴールラインに迫ると、FLゴルゴゼが力強い突進でラインを越え、この試合初のトライ獲得でチームに勢いをつけた。
ルーマニアは、この試合で代表50キャップとなった主将のHOツィンクを中心に最後まで奮闘したが、スクラムを中心としたFWの強さを活かせず、ノートライでファイナルホイッスルを聞いた。
ワールドカップでルーマニアが未勝利に終わったのは、1995年大会に次いで2度目。一方、今大会初勝利のグルジアは初のベスト8入りの夢は断たれたものの、10月2日に最終試合として大事なアルゼンチン戦を控える。4年前には3-33と完敗を喫しており、東欧の勇ましき男たち“レロス”はリベンジに燃えている。
(文・竹中 清/パーマストンノース)