ラグビーリパブリック

ディフェンス光ったNZ 宿敵オーストラリアに快勝

2011.08.06


 


 タスマン海を挟んだ宿命のライバル、ニュージーランドとオーストラリアが約80年前より争ってきた「ブレディスローカップ」は、次の1年間もニュージーランドで光り輝くこととなった。6日、両国代表はニュージーランドの最大都市オークランドで激突し、ディフェンスの強さを発揮したオールブラックス(ニュージーランド代表)が30-14で快勝した。この試合は、南アフリカを加えた南半球3カ国対抗戦「トライネーションズ」のタイトルもかかっており、通算2勝0敗としたオールブラックスが2連覇へ前進。ワラビーズ(オーストラリア代表)は1勝1敗となった。


 


 前半5分、ニュージーランドがSOカーターのペナルティゴール(PG)で先制した。その2分後には、SHウィップーのサイドライン突破をきっかけに猛攻を仕掛け、22メートルライン外でパスをもらったWTBシヴィヴァトゥがゴール前まで切り込むと、最後はCTBノヌーがラックから素早くボールを拾い上げ、トライ。オールブラックスのワンプレーへの執念と、ボールをつなぐ確かな技術、畳みかける連続攻撃はその後も威力を発揮し、26分にはHOメアラムがインゴールに押し込み、一気に点差を広げた。
 対するオーストラリアは、SHゲニア、SOクーパー、WTBオコナーがブレイクに成功する場面もあったが、ニュージーランドのタックルは出足鋭く、カバーディフェンスも充実で、突破口を広げられない。また、前半にはPGチャンスが2度ありながらキッカーのWTBオコナーが決められず、流れを悪くした。
 17-0、ニュージーランドのリードで前半終了。


 


 後半早々、再びPGチャンスを逃したオーストラリアに対し、ニュージーランド代表SOカーターはワールドカップの接戦を想定したか、ドロップゴールを試みて成功する。
 20点差とされ、焦りが見え始めたワラビーズだったが、50分、自陣10メートルでのブレイクダウンからターンオーバーに成功すると、SHゲニアから鮮やかなパスを受けたFBビールが相手防御網を切り裂き、左サイドを駆け上がったWTBイオアネにパス。今季テストマッチ2試合でいずれもトライを奪っているイオアネは50メートルを独走し、スコアボードを動かした。
 しかし、反撃開始と思わせたのもつかの間、約2分後のリスタートで、カーターのキックオフボールをオールブラックスCTBスミスが拾うと、一気に右サイドを攻め上がり、WTBシヴィヴァトゥのトライを演出した。
 試合終了5分前に、ワラビーズ主将のFLエルソムがチーム2本目のトライを挙げたが、時すでに遅し。


 


 ラインアウトにやや乱れがあり、ブレイクダウンでのターンオーバーから失点するなど、次への課題も残ったオールブラックスだが、現時点では、ハイテンポラグビーとディフェンスの強さはワラビーズより一枚上手。ワールドカップ決勝の舞台となるイーデンパークで、1995年のカナダ戦から始まった連勝記録を「22」に伸ばした。



 ワラビーズは心配されたスクラム戦で五分に渡り合ったものの、ゲームを支配できないまま後半に入ると、バックス陣がコンビネーションを乱すなど“若さ”を露呈。特に、テストマッチ26試合目の司令塔クーパーは冷静さを失い、パスミスを連発、82キャップの相手SOカーターに経験の差を見せつけられた。
 敗戦を糧に、ワラビーズは間もなく南アフリカ遠征に出発し、13日に同国代表スプリングボクスと対戦する。


 

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