ワールドカップ(W杯)通算15トライを記録した伝説のスーパースター、ジョナ・ロムーが、2011年W杯のダークホースとして注目しているのがアイルランドだ。現在、世界ランキング4位。今年のシックスネーションズ(欧州6カ国対抗戦)ではイングランドの全勝優勝グランドスラムを阻止し、アイルランドの強豪レンスターは昨季ハイネケンカップ(欧州最強クラブ決定戦)王者に輝いた。主将CTBブライアン・オドリスコル、司令塔ローナン・オガーラなど円熟期を迎えたベテランが多く、元オールブラックスの怪物はアイリッシュを警戒。「彼らはすべてをかけて挑んでくるだろう」と、7月中旬にW杯プロモーションで訪れたクック諸島での、地元メディア質問に答えている。
しかしながら、アイルランドはいまだかつて、W杯でベスト4に残ったことがない。前回大会ではアルゼンチンとフランスに敗れて予選プール敗退。格下グルジアには土俵際まで追い詰められた(14-10)。
それでもチームは、マンスターを2度も欧州王者に導いた名将デクラン・キドニーが2008年夏にヘッドコーチ(HC)に就任すると、2009年のシックスネーションズでは61年ぶりにグランドスラムを達成。同年のIRB(国際ラグビーボード)最優秀コーチに選ばれたキドニーHCに対するアイルランド・ラグビー協会の信頼は厚く、今月22日、協会はキドニーHCと彼を支えてきたアシスタントコーチ陣の、2012−13シーズンまでの契約延長を発表した。片腕となるハルト・スマルFWコーチは、2007年W杯で優勝したスプリングボクスのFWコーチを務め、母国南アフリカの次期代表監督候補のひとりと目されていたが、少なくともあと2年は、アイルランドのために全力を注ぐ決意を固めた。
来週末からいよいよ、北半球勢もテストマッチが始まり、アイルランドは8月6日にスコットランドと対戦する。
ワールドカップではプールCに入り、世界ランキング2位のオーストラリア、初のベスト8入りに燃えるイタリア、W杯初出場のロシア、そしてアイルランド代表で前HCを務めたエディ・オサリヴァンが率いるアメリカと激突する。