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南半球王者はレッズ! スーパーラグビー悲願の初優勝

2011.07.09


 


 南半球の最強クラブチームを決める「スーパーラグビー」の決勝戦が9日、オーストラリア・ブリスベンのサンコープスタジアムで行われ、レッズ(オーストラリア)が18-13でクルセーダーズ(ニュージーランド)を破り、1996年からのスーパーラグビー史上、初めて栄冠を獲得した。


 


 両チームとも、地元市民のために、どうしても勝ちたい理由があった。レッズが本拠地を構えるクイーンズランド州は、昨年末から今年1月にかけての大洪水で総州面積の約75%が被災し、約2万世帯が浸水、農業・石炭産業・観光業などが大打撃を受けた。一方、クルセーダーズのホームであるクライストチャーチでは、2月22日に大地震が発生。約180人が死亡し、市内だけで4000棟を超える建物が倒壊した。ワールドカップ開催の夢も奪われ、人々から笑顔が消えていた。地元を元気づけるためにも、優勝への思いはどちらも強かった。


 


 レッズは、開幕から粘り強い戦いを続け、レギュラーシーズン1位でプレーオフ進出。準決勝ではブルーズを30-13で破り、初優勝に王手をかけた。地震でホームグラウンドが使えなかったクルセーダーズは、フランチャイズの小さな会場やイギリス・ロンドンなどを転戦し、総合3位(ニュージーランド・カンファレンス1位)でプレーオフ進出。南ア1位のストーマーズを準決勝で下し、3年ぶり8度目の優勝を目前とした。


 そして、ついにファイナル決戦。


 


 州代表レベルの試合としては、オーストラリアラグビー史上最多となる5万2113人の大観衆を集めて行われたこの試合、キックオフから手に汗握る攻防で、しばらくスコアレスの状態が続いた。すると31分、レッズがSOクウェイド・クーパーのペナルティゴール(PG)で均衡を破る。しかしその3分後、クルセーダーズは連続攻撃で敵陣22メートルラインまで迫ると、SOダン・カーターがショートキックで相手防御網の隙間を突き、自らボールを処理して逆転トライを決めた(ゴール成功)。前半終了間際にレッズがPGを決め、クルセーダーズの1点リードでハーフタイムへ。


 


 後半に入っても、両者の速いディフェンスプレッシャーは衰えることなく、ハイテンポのラグビーが展開された。46分、この試合を最後にクルセーダーズに別れを告げる(福岡サニックスブルースへ移籍)LOブラッド・ソーンがゴール内に飛び込んだが、レッズ必死のディフェンスの前にグラウンディングは認められず。
 その後、相手にPGを決められ4点差とされたレッズは50分、WTBディグビー・イオアネが敵陣10メートル付近でパスをもらうと、トップスピードからのしなやかな走りで相手ディフェンダーを立て続けにかわし、逆転トライを決めた。
 それでも、クルセーダーズは食い下がり、約5分後にPGで同点とする。


 


 80分間の激闘で決着がつかなければ延長戦、それでも雌雄を決しない場合は、PK戦で優勝チームが決まることになっていた。その可能性は十分に考えられたが、67分、決定的瞬間が訪れた。自陣10メートルでの渋滞から、わずかなギャップを見つけたレッズのSHウィル・ゲニアが抜け出し、約60メートル独走のスーパートライで勝ち越す。
 そして10数分後、ノーサイドの笛がなった。
 南半球最高、世界最高峰のスーパーなラグビーは、今年も世界中のラグビーファンを熱狂させ、華やかに幕を閉じた。レギュラーシーズン13勝3敗で1位。プレーオフではブルーズとクルセーダーズを撃破。2011年スーパーラグビーのチャンピオンに輝いたのは、レッズだった。


 



 

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