ラグビーリパブリック

ジャパンに必要なのは攻撃面の忍耐 そして熱きエール

2011.06.26


記者会見でさらなる飛躍を誓った日本代表キャプテン菊谷崇


 


 慈善試合(6月26日・秩父宮)とはいえ、パシフィック・ネーションズカップ前の大事な試合。49-7という大勝のあと、ジョン・カーワン日本代表ヘッドコーチは、確かな手応えを感じているようだった。
「(震災に遭われた)東北の方々へ思いを寄せて戦った。後半15分は守る時間が多かったが、全体を通して、ディフェンスは我々がやろうとしてることを選手がよくやった。スクラムについてもある程度は満足している。アタック面ではいろいろ試したが、もう少し忍耐が必要な部分がある。パターンで、もっと固執すべきところがあった。今日のパフォーマンスでは、パシフィック・ネーションズカップ出場3カ国(サモア、フィジー、トンガ)に対しては通用しない部分があり、これから向上していかなければならない」。


 


 前半10分の先制トライでチームに勢いをつけ、この試合で3本のトライを奪い、マン・オブ・ザマッチに輝いた日本代表主将のFL菊谷崇は、試合後の記者会見で開口一番、チャリティーマッチを実現できたことに対し感謝の言葉を述べ、「東北の方々へ、ラグビーを通してメッセージを伝えられたと思う。(対戦相手となった)トップリーグ選抜の全員がモチベーションが高く、最後まで懸命にプレーしてくれて感謝している」と語った。
 日本代表はこの日、計7本のトライを挙げたが、2カ月半後にワールドカップを控える“ブレイブ・ブロッサムズ”の大将として、JK同様、攻撃面では満足していない。「ハーフタイムでは、『今日の試合でしんどい顔を見せるようでは、これから先の厳しい戦いではやっていけない』と全員で気を引き締めた。それでも、疲れからか、走り切れていない場面があったのは確か。(3トライを挙げた)自分自身については、今日の試合がスタンダードになるようにやっていきたい」とさらなるステップアップを誓った。


 


 一方、敗れはしたものの、ラスト20分間で意地を見せたトップリーグ選抜のエディー・ジョーンズ監督は、「東北の皆さんへ、『あきらめない』というメッセージを送ることができたと思う」と選手の労をねぎらった。日本代表については、ブレイクダウンの強さと全体のスピード、組織されたディフェンス面を高評価。「ジャパンはフィジカルなチームになったという印象。そこが彼らの特徴になりつつある。攻撃面では、いかにつないで得点できるかが鍵」とエールを送った。
 そして、トップリーグ選抜チームのキャプテンを務めたWTB廣瀬俊朗(東芝)は、ワールドカップでの日本代表の奮闘を期待するすべての人々へ、心のこもったメッセージを口にした。
「トップリーグXVにひときわ大きな声援があったのは嬉しかった。しかし、ジャパンがトライした時も同じように喜んでほしかった。日本代表に対し、厳しい目が向けられるのは仕方がないことかもしれないが、もっと、ファンも(代表以外の)選手も、みんなで、ジャパンを応援していくことが大切だと思う」。


(文/竹中 清)


 

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