2006年12月にフィジーで軍事政権が誕生して以来、民主化への対応や人権問題をめぐって同国と対立関係にあるニュージーランドは、フィジーのすべての軍関係者やその家族に対して、入国を禁止している。ワールドカップ(W杯)開幕まで100日を切った現在でもその毅然とした態度を崩しておらず、W杯スコッド候補に数人の軍人選手を含んでいるといわれる一方のフィジー側は、同国オリンピック委員会会長がW杯ボイコットを示唆するなど、騒動が過熱してきた。
IRB(国際ラグビーボード)はニュージーランド政府に対し、W杯期間中の柔軟な対応を求めているが、ジョン・キーNZ首相は「NO!」の態度を明らかにしている。
6月3日のニュージーランド新聞『NZヘラルド』(電子版)によれば、マレー・マカリーNZ外務大臣も「この件に関して、ニュージーランド政府が方針を変えることはなく、制裁は続ける」と発言。しかしながら、問題がよい方向へ向かって解決することを望んでおり、「私は敵意を持って対処するつもりはなく、ドアは開かれている」と改めてフィジー側の変化を求めた。
フランク・バイニマラマ軍司令官によるフィジー政府が民主主義と人権を元に戻すことで、制裁解除のハッピーエンドを迎えるか。それとも、フィジー側の要求通りフィジー戦をすべてフィジーで開催するか。はたまた、さらなる対立悪化で、フィジーのW杯ボイコット(あるいはIRBによる追放)となるか……。
『NZヘラルド』紙では、元オールブラックスPRであり、現在はコラムニストやコメンテーターとしても活躍するリチャード・ロー氏のコメントを紹介し、「もしフィジー代表がボイコットするなら、韓国代表やパプアニューギニア代表などによる代替出場もあり得る」と一案を示した。