ヨーロッパ2大タイトルのひとつ、「欧州チャレンジカップ」が今週末に準決勝を迎える。「ハイネケンカップ」より格は下がるが、欧州強豪6カ国(イングランド、フランス、アイルランド、ウエールズ、スコットランド、イタリア)に加え、スペイン、ルーマニア、ポルトガルの最強クラブにも門戸が開かれており、注目度は年々上がってきている。
トップ4に残ったのは、フランスのスタッド・フランセとクレルモン・オーヴェルニュ、それにマンスター(アイルランド)、ハリクインズ(イングランド)。過去、ヨーロッパの2大大会を2つとも制したのは、ロンドン・ワスプスとバース、ノーサンプトン・セインツのイングランド勢3チームだけであり、仲間入りの可能性があるマンスターが優勝すれば、アイルランド勢初の快挙となる。
準決勝第1試合
スタッド・フランセ(フランス) vs. クレルモン・オーヴェルニュ(フランス)
〔4月29日/シャルルティ・スタジアム、パリ(フランス)〕
【スタッド・フランセ】
1883年創立。ヨーロッパ大会では無冠ながら、2001年と2005年はハイネケンカップ決勝に進出している。今シーズンのフランス国内選手権トップ14では10位に低迷しており、今大会で花を咲かせたい。中心選手はイタリア代表主将のNO8セルジオ・パリセ。司令塔のリオネル・ボクシスは今シーズン限りでトゥールーズに移籍することが決まっており、最後の大仕事に意気込んでいる。ド派手なジャージもようやくファンの目になじんできた。
【クレルモン・オーヴェルニュ】
1911年創立。1998−99シーズン、2006−07シーズンの欧州チャレンジカップ覇者。昨シーズンのトップ14チャンピオンでもある。今季トップ14では現在3位。チームの躍進を支えてきたフランス代表WTBジュリアン・マルジウが太ももの裏側を痛め、準決勝メンバーから外れたのは痛い。フランス代表オレリアン・ルージュリーはCTBに入り、元南アフリカ代表のマリウス・ジュベールとコンビを組む。SOブレント・ラッセルのスピードも脅威。
準決勝第2試合
マンスター(アイルランド) vs. ハリクインズ(イングランド)
〔4月30日/ソーモンドパーク、リムリック(アイルランド)〕
【マンスター】
1879年創立。2005−06シーズン、2007−08シーズンのハイネケンカップ王者。過去13年間で初めて、ハイネケンカップのプレーオフ進出を逃した。しかし、ヨーロッパタイトル獲得のチャンスは残っており、マグナーズリーグとのW制覇に燃えている。過去16シーズン、ヨーロッパ大会に限れば、ホームでは1度しか負けていない。アイルランド代表でも司令塔を務めるローナン・オガーラはゴールデンブーツの持ち主。WTBキース・アールズはアイルランドの選手協会が選ぶ今シーズンの優秀選手にノミネートされている。アイルランド代表75キャップを誇る主将のLOポール・オコンネルは足首の故障から約1カ月ぶりに復活。ベンチスタートながら大将が加わったことでチームは活気づいている。
【ハリクインズ】
1866年創立。2000−01シーズンと2003−04シーズンに欧州チャレンジカップ優勝を成し遂げている。準決勝でぶつかるマンスターとの相性は悪く、過去3対決はいずれも敗戦。今季プレミアシップでは7位と低迷しており、欧州4強に残っただけでも上出来という声も。中心選手は、プレミアシップで得点王争い2位につける元オールブラックスのSOニック・エヴァンス。FWの核はイングランド代表FLクリス・ロブショウ。大手ブックメーカーのほとんどが最低評価。下剋上なるか。