2011年シックスネーションズでは、アンドレア・マシがイタリア選手として初めて大会最優秀選手に選ばれた。だが、主将セルジオ・パリセの強いリーダーシップとハードプレーなくして、フランスからの大金星獲得はなかったに違いない。
アルゼンチンで生まれ、17歳のときにイタリアへ移住した。輸入選手かと誤解されがちだが、両親はイタリア人であり、父はラクイラの元ラグビー選手。「父親の仕事の都合で外国に生まれただけ。彼は純粋なイタリア人だ」と国民は胸を張る。
プロ選手としてのキャリアは、イタリア最強のトレヴィゾから始まった。若手育成に定評があるチームで着実に才能を伸ばし、2005年にフランスの強豪スタッド・フランセへ移籍。ハイレベルなトップ14で鍛えられ、瞬く間にチームの大黒柱となる。
イタリアラグビー史上まれに見る逸材は、18歳で代表デビューを果たすと、24歳時にはすでに50キャップを獲得していた。現在、27歳。アレッサンドロ・トロンコンが持つイタリア代表最多キャップ記録(101)を抜くのは時間の問題か。2008年には、イタリア人として初めてIRB(国際ラグビーボード)年間優秀選手にノミネートされている。
視野が広く、冷静な頭脳も併せ持ったバックロー。ラインアウトのポジション取りに長け、走れば勇ましくゲインラインを突破する。ハンドスキルよし、タックルよし、スタミナよし。それに、顔がいい。甘いマスクは多くの女性を虜にし、2003年ワールドカップの際には、女性ジャーナリストたちが選ぶ『世界で最もセクシーな男』に選ばれた。人気のファッションブランド「ドルチェ&ガッバーナ」で広告塔を務めたこともあり、2010年夏には元ミスヨーロッパのアレキサンドラ・ローゼンフェルドさんと結婚している。
一見、順風満帆だが、辛酸をなめた過去があってこそ大将としての今がある。2009年6月27日のオールブラックス戦で、故意に相手選手の目をつぶしたとして、8週間の出場停止処分。2010年は膝の故障でシーズンを棒に振った。心身を鍛え直すのに、たっぷりと時間をもらった。
2011年、ワールドカップイヤー。アズーリのミスター8復活。ニュージーランドの大舞台で、イタリアが歴史的偉業を起こすのは夢物語だ、と笑う者はまだいるだろうか。ならば注目してほしい。セルジオ・パリセが伝説の男になるのはこれからだ。
ポジション: NO8/FL
生年月日: 1983年9月12日
出身地:アルゼンチン(ブエノスアイレス)
身長: 196cm
体重: 104kg
所属チーム: スタッド・フランセ
【国代表】
デビュー: 2002年6月8日 対ニュージーランド
CAP: 77(2011年3月25日現在)
得点: 33(トライ:6 DG:1)