W杯

夢への最後の1枠… 香港、カナダ、ケニア、ドイツがW杯最終予選で激突へ


アフリカ予選のナミビア戦で力強く走るケニアのバックローワー(Photo: Getty Images)


 ラグビーワールドカップ2019へのラスト1つの出場権をかけ、いよいよ今週末から世界最終予選がおこなわれる。フランスのマルセイユに香港代表、カナダ代表、ケニア代表、ドイツ代表の4チームが集まり、11月11日から23日にかけて総当たり戦を実施し、1位になったチームが日本行きの切符を獲得する。
 そして勝者は、ニュージーランド、南アフリカ、イタリア、ナミビアと一緒のプールBに入る。

 ドイツ代表のマイク・フォード ヘッドコーチは夢を実現させてやりたいと意気込み、「選手たちは20数年後に自分の孫を膝の上に置き、ワールドカップでオールブラックスと対戦したという話をしたくなるだろう」と語っている。
 大会3連覇を狙うオールブラックス(ニュージーランド)の“ハカ”と対峙し、世界最強クラスの男たちとジャージーを交換するという未来につなげるのは、どのチームだろうか。

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プレーオフでクック諸島のディフェンスを突破する香港のWTBヨウ・カムシン
(Photo: Hong Kong Rugby Union)

 11月5日に発表された最新の世界ランキングで最上位は21位の香港だ。カナダが23位で、ケニアは28位、ドイツは29位となっている。このなかでワールドカップを経験しているのはカナダだけで、それ以外の3チームにとっては悲願の初出場がかかる。

 香港は韓国、マレーシアと争ったアジア最終予選を4戦全勝1位で通過し、クック諸島とのアジア・オセアニア地区プレーオフを勝ち抜いて最終ラウンドに進んだ。なので、他の3チームとはプロセスが異なり、“敗者復活”チームではない。
 香港ラグビー協会は2016年に『エリート・ラグビー・プログラム』を立ち上げ、今回、世界最終予選へ向けて選ばれたスコッドメンバーの多くは、フルタイムのプロ契約を結んで鍛えられてきた選手たち。同協会の最高執行責任者は「我々がこれまでプロデュースしてきたなかで最も準備してきた代表スコッドだ」と自信を持つ。
 指揮官は、2015年ワールドカップまで日本代表のディフェンスコーチだったウェールズ出身のリー・ジョーンズ。
 オーストラリアでプレー経験があるLO/FLジェームズ・カニンガムが主将を務める。司令塔は南アフリカ出身のマシュー・ロスリーで、同じく南ア人のPRグラント・ケンプはサザン・キングズに所属していた2013年にスーパーラグビー出場の経験がある。
 世界最終予選のスコッドに入ったニューフェイスは5人で、ニュージーランド出身のFBケイシー・ストーンは33歳でデビューとなりそうだ。
 そして、セブンズ香港代表主将のベン・リメネも15人制の大舞台を目指す。

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カナダの中心選手であるタイラー・アードロン(左)。前回のW杯では主将を務めた
(Photo: Getty Images)

 カナダは現在のランキングでは香港より下だが、過去8回のワールドカップすべてに出場している常連国であり、1991年の第2回大会では準々決勝進出を果たしている。海外で活躍するプロ選手も多く、4チームのなかで実力は最上位か。
 今年、スーパーラグビーの強豪チーフスでロックのレギュラーを獲得し、その後もニュージーランドの国内大会で成長を続けてきたタイラー・アードロンはワールドクラスである。6月のテストマッチには参加しなかったが母国の代表に復帰し、本職のNO8でプレーすることになりそうだ。
 バックスでは、怪我でアメリカ地区予選に出場できなかった38キャップのFB/WTBマット・エヴァンスが復活し、ワールドカップを3大会経験しているカナダ史上最高トライゲッターのDTH・ファンデルメルヴァは頼もしい。


 アフリカ最終予選でナミビアとの全勝対決に敗れたケニアのイアン・スヌーク ヘッドコーチは、8月に15人制代表デビューを果たしたばかりのウィリー・アンバカに続いて7人制のスターたちを追加で招集した。ワールドセブンズシリーズで歴代2位のトライゲッターであるコリンズ・インジェラも世界最終予選のスコッドに入り、歴史的快挙を目指す。
 さらに、プレミアシップ(イングランド最高峰リーグ)のニューカッスル・ファルコンズに2016年から2季在籍したパワフルなNO8ジョシュア・チサンガが代表チームに復帰し、こちらも過去最強の布陣が整ったと言っていいだろう。

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この2年間で格上のウルグアイやルーマニアにも勝ったドイツ
(Photo: Getty Images)

 ドイツは欧州最終予選で最下位に終わっていたが、同予選で1位だったルーマニアと2位のスペイン、さらに4位のベルギーが、代表資格がない選手を試合に出場させていたことがのちに発覚し、繰り上がりで再チャンスを与えられたチームだ。プレーオフを戦ったサモアのトゥイラエパ・サイレレ・マリエレガオイ首相(同国ラグビー協会会長)に「ドイツはラグビーのやり方について何の知識もない」と揶揄されたが、地元でおこなわれたプレーオフ第2戦ではワールドカップ常連のアイランダーに対して後半途中までリードし28−42と競った。
 その2か月後、かつてイングランド代表やブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズでディフェンスコーチを務め、バースの指揮官だった時代にプレミアシップのシーズン最優秀監督に選ばれたことがあるマイク・フォードが新ヘッドコーチに就任。元イングランド代表LOのモウリツ・ボタがFW&ディフェンスコーチを務め、2003年ワールドカップでウルグアイ代表のテクニカルアドバイザーだったオーストラリア人のポール・ヒーリーがアタックコーチを担当しており、新しい歴史をつくる可能性は十分ある。
 選手育成プログラムの一環として南アフリカのシャークス・アカデミーで鍛えられたことがある長身のCTB/WTBシュテフェン・リービッグは注目選手のひとり。


<ラグビーワールドカップ2019 世界最終予選 日程>

■11月11日(日)
・カナダ vs ケニア
・香港 vs ドイツ

■11月17日(土)
・香港 vs ケニア
・カナダ vs ドイツ

■11月23日(金)
・ケニア vs ドイツ
・香港 vs カナダ

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