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イングランド、薄氷の勝利。トゥイッケナムで南アフリカに競り勝つ。

大接戦となった80分。イングランドはノートライも、失トライも1つだけに抑えて辛勝。
(写真/Getty Images)



 ホームのトゥイッケナム競技場で秋のテストシリーズ4試合を戦うイングランドは、11月3日、初戦の南アフリカ戦を戦った。12-11の辛勝だった。
 直近7試合で1勝6敗と低調に喘ぎ、さらには多くの主力選手が負傷。イングランドは、経験の浅いメンバーで挑んだ。8万を超える観衆が、そのパフォーマンスに注目した。


 前半は、両チームともにキックの多い堅い試合展開。5分には南アフリカのSOハンドレ・ポラード、19分にはイングランドのSOオーウェン・ファレルがそれぞれPGを決め、3-3となった。
 再三に渡りイングランド陣ゴール際まで攻め込みながらもトライラインを超えられない南アフリカは、32分に中央でのラック連取からタッチライン際にオーバーラップを作る。WTBシブシソ・ンコシがトライを決め8-3とリード。しかしイングランドもファレルがPGを決め(36分)、差を詰めて前半を終えた(8-6で南アフリカのリード)。


 後半、イングランドはボールを大きく動かした。アンストラクチャーな展開に持ち込み、試合の主導権を握る。50分にはFBエリオット・デイリーがハーフウェーライン上からのロングPGを決め、9-8と逆転に成功。60分を過ぎたあたりから両チームともに交代のカードを切った。
 その後もポラード、ファレルがPG決め、スコアは12-11に。緊迫した状態で試合は最終局面を迎え、イングランドがそのまま守り切った。
 薄氷の勝利だった。


 勝つには勝ったが、チャンスをミスで潰し、ノートライでの勝利に終わった勝者。エディー・ジョーンズ監督は「南アフリカは、ここまで3か月間代表チームとして活動しているが、我々は先週代表合宿を始め、きょう出場した選手全員での練習は3回しかしていません。そうした中で、こういうタフな試合を勝ち切った選手の精神力には敬意を表します」と評した。

 対する南アフリカのラシー・エラスマス監督は、試合終了直前のプレーで、ファレルがCTBアンドレ・エスターハイゼンに放った、ボーダーライン上とも言える危険なタックルについて聞かれ、「あれがペナルティにならないなら、我々もやるべきだ。非常に有効なタックルだった」と皮肉を込めたコメントを発した。
 ちなみにこのファレルのタックル(腕でバインドせず、激しく肩を当てて相手を倒し、そのこぼれ球をイングランドの選手が蹴り出して試合終了)は、現地のオンラインメディアでも早速大きな議論を呼んだ。

 このタックルについては、試合終了の笛が一旦吹かれた後にTMOに判定が委ねられた。レフリーがファレルを呼んで話した結果、ペナルティではないとの判定となった。
 ファレル自身はレフリーとの会話について聞かれると、「腕をバインドしようとしたかと聞かれたので、もちろんその意図はあった、と答えたよ」とクールな姿勢を保った。

 ボール支配率では59%対41%と南アフリカが上回り、ペナルティの数も南アフリカが5で、イングランドは11。何とか1トライを挙げた南アフリカに対し、イングランドはノートライだった。
 しかし、ファイナルスコアこそがすべて。それがテストマッチだ。
 なんとか勝利をもぎ取ったイングランドは11月10日にオールブラックスと戦い、同17日には日本代表を『聖地』で迎え撃つ。
(文/竹鼻智)







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