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筑波大3年・土谷深浩、チームをよくする決断と行動を語る。


筑波大の土谷深浩(中央)。写真は10月7日の明大戦から(撮影:井田新輔)


 自分のいる環境をもっとよくしたい。そう思って動いてきただろう。

 筑波大ラグビー部の土谷深浩は、勤勉なNO8だ。身長187センチ、体重98キロと学生レベルにあっては大柄な体躯ながら、低い姿勢で踏ん張る。相手ボールの接点へ腰を落として踏み込む。身体を差し込む。2年だった昨季は20歳以下(U20)日本代表に入り、ワールドラグビーU20トロフィー(ウルグアイ)で優勝した。

 3年生となった今季は、その献身的な態度をグラウンド外でも示した。早生まれとあって参加可能だった今季のU20代表の活動と距離を置き、所属先での活動に専念。いまいるクラブに貢献したいという、いち部員としての意志を貫いたのだ。

 当の本人が、その背景を語る。

「(チームに)変革を起こす時。自分も加わり、意見を出し、皆で強いチームを作りたかったというのが個人的な思いです。自チームを一番に考えた時、3年生とあって自分にも責任がある。ポジション的にも(真ん中に位置する)NO8と、引っ張っていかなきゃいけないので」

 従来のレギュラーがごっそりと抜けた今季の筑波大では、大西訓平主将が「変革」とのスローガンを掲げてクラブの環境改善を断行。下級生時から試合に出ていた土谷も、その流れに乗りたかった。

 特に意識したのは、上級生と下級生との間の垣根を取り払うこと。もともと理不尽な上下関係とは縁遠かったとされる筑波大において、実直な戦士は「まず雰囲気をよくしよう、誰でも言い合える状態にしよう」と思ったようだ。

「練習でも下級生が意見を出せるようにして、皆でチームを作っていこうという雰囲気づくりから始めました」

 関東大学春季大会では昨シーズンの中位集団によるBグループに入り、5戦全勝。幸先の良いスタートを切った。しかし9月からの関東大学対抗戦Aでは、ここまで1勝3敗と苦しんでいる。ライバル校に故障離脱中だった主力が出揃うなか、今季からメンバー入りした選手らが接点(肉弾戦)で苦しめられた。古川拓生監督も、慶大に24−35で負けた際にこう認めた(9月30日/東京・江戸川陸上競技場)。

「春に接点での本当の圧力を受けることなく戦ったことで、身体で受ける負荷(を感じたの)は秋になってからという感じでした。接点で後手を踏んだことは大きな課題だと思っています」

 その傾向は、明大に21−66で屈した10月7日でも垣間見えた(栃木・足利陸上競技場)。土谷は「春はいい成績を残せたと思うのですけど、個々の部分がまだまだ勝てなかったり、後手を踏んでしまったり。それが結果に響いています」。もっとも最後は、なんとか上を向いた。

「ここで出た反省を踏まえ、悪いところは悪いと自覚したうえで練習に真摯に取り組むのが一番。個人個人が課題を見つめ直すことです。強い筑波大を見せるためにも、個々の接点での強さを作っていきたいです」

 土谷が春から文化醸成に携わったクラブは、秋、土谷の得意な領域でのプレーに苦しんできた。やはり最後の最後まで、土谷は大きな期待を背負ってゆくだろう。自分のいる環境をもっとよくしたい。その心を変えない。
(文:向 風見也)

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