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花園優勝主将の長田智希、100周年の早大でも「やれることをやりたい」。


10月21日の日体大戦で力走する早大の長田智希(撮影:桜井ひとし)


 創部100周年を迎える早大ラグビー部で、スポーツ推薦で入学したルーキーたちが注目されている。なかでも「調整力」が期待されるのは、身長179センチ、体重83キロの長田智希。昨季は東海大仰星高の主将として全国高校ラグビー大会を制したユーティリティBKだ。

 長田のよさを「調整力」としたのは、古庄史和コーチ。画面に映りづらい攻撃中の所作をいくつか思い起こし、新人の価値を言語化する。

「いい判断ができ、いいコミュニケーションが取れるから周りも動きやすい。アタック中の(ボールを)もらうタイミング、手放すタイミング、直前のコールも上手です」

 10月21日、群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場。加盟する関東大学対抗戦Aの日体大戦に、長田はアウトサイドCTBとして先発した。9月9日の埼玉・セナリオハウスフィールド三郷での筑波大戦(〇55−10)で怪我をして以来の出場だ。

 早大は40−10で迎えた後半21分、敵陣10メートル線付近左の相手ラインアウトをターンオーバーすると左へ展開。身長186センチの大型インサイドCTBの中野将伍がボールを持つと、「自分のところが狙われているな」。日体大のタックラーを2名、ひきつける。

 その右脇にできたかすかなスペースへ駆け込んだのが、アウトサイドCTBの長田だった。中野からパスを受け取ると、敵陣ゴールエリアまで駆け抜ける。直後のコンバージョンキック成功でスコアは47−10となった。

 早大は結局、68−10で大勝。その他のシーンでも、長田は「調整力」を褒められるゆえんを示す。自軍の反則が取られれば、好パスを放った直後でも即座に所定の立ち位置へ戻ったり。用意されたであろうムーブに沿い、おとり役として相手防御を引き付けたり。

 もっとも本人は、自身のパフォーマンスに酔わない。

「怪我した部分はだいぶ、いい感じでした。ただ試合をしながら、プレー面はだいぶ、詰めてかなきゃいけないと思っていました」

 具体的には、タックルの出足などに課題を抱えたようだ。

「スライドしながらディフェンスをする時も、最後の部分はアグレッシブにいかなきゃいけない。ただ、その部分で差し込まれるところがあった。アタックではもっとボールをもらって、自分から仕掛け、周りも活かしていきたい」

 夏場から主力組に入り、タックル後の起立から防御網を埋めるまでのスピードが買われてきた。危機管理能力を保つ秘訣を聞かれれば、「とにかく、とりあえず、走る」と長田。要諦はシンプルだった。

「気持ちでハードワークすることは僕のなかで決めているので」

 対抗戦は続く。11月4日には、大学選手権9連覇中の帝京大とぶつかる。過去2シーズンにおける対抗戦での対戦記録は3−75、21−40だ。

 だからだろう。今年8月19月の練習試合では28−14で勝利も、長田は「実力は、帝京大が上なので」と言い切る。「キックを蹴られたら全員が戻る、1人が抜けたらサポートが分厚いとか。全体としての意識がある」。長田が大切にしている所作を全員が大切にするのが帝京大なのだと、他ならぬ長田が認識しているのだ。

「出させてもらっている以上は、1年生というのは関係なくやれることをやりたいです」

 夏合宿より両者の真剣みが増す対抗戦でのバトルに向け、自軍のクオリティチェックを重ねてゆく。

(文:向 風見也)

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