女子

復活。五輪への夢。サクラセブンズ伊藤優希、昔の得意技は「背負い投げ」。

日体大ラグビー部女子の4年生。高校時代は筑紫高で男子と練習、
福岡レディースでプレーしていた。(撮影/松本かおり)



 やわらの道を進んでいても五輪は見えたかもしれない。
 48キロ級で全国中学校大会2位。全柔連の強化指定選手となり、柔道強豪校からの誘いも少なくなかった。
 背負い投げが得意だった少女はいま、ハードタックルを武器にしている。


 女子セブンズ日本代表の伊藤優希(いとう・ゆき)が元気だ。
 アジア・セブンズシリーズの韓国大会(9月29日、30日)でチームの優勝に貢献。スリランカ大会(10月13日、14日)への準備を重ねている。


 昨年、15人制の女子ワールドカップ(アイルランド)を目前にして右膝のじん帯を断裂。復帰までに長い時間を要したが、「リハビリの間、自分がどれだけ多くの人たちに支えられているか本当に分かった。その人たちのためにも絶対に復帰しようと思いやってきました」。
 太陽生命ウィメンズセブンズシリーズの富士山裾野御殿場大会で活躍(9月8日、9日)。そのパフォーマンスに加え、北海道知事杯(国際大会)でも評価を得た。
 結果、サクラセブンズへの復活が実現した。


 大体大でプレーしていた父・英司さん、長崎南山高校で花園にも出た兄・拓海さん(大体大→三菱重工長崎ラグビー部に所属)の影響を受け、「楽しそう」と福岡・筑紫高校入学と同時にラグビーを始めた。弟の大?さんも現在、桐蔭学園高校の2年生。ラグビー一家に生まれた。
 転向後すぐにセブンズのユース代表に選ばれ、やがてサクラフィフティーンにも選出。バックローとして活躍した。
 サクラセブンズ入りは昨年(2017年)4月のコアチーム昇格大会からだ。続いてワールドラグビー・セブンズシリーズの北九州大会にも出場した。
 高校2年時の左膝じん帯断裂以来の大ケガは、その直後だった。


 ディフェンス面を強みにしたいし、自信を持っている。
 柔道の経験がいろんな局面で活かされる。
「コンタクトのときのボディーコントロール。倒されたときのボールコントロール。そのあたりは得意です。タックルした後のファイトも。ブレイクダウンまわりで働きたい」
 ただ、ディフェンスはそれだけではないと自覚する。
「いかに早く、正しくポジショニングするか。相手より先にセットすることが大事と考えています」


 自分をよく理解してプレーするから成長がある。
「スピードがあるわけでも、サイズがあるわけでもありません(162センチ、60キロ)。だから、できることを出し切っていきたい。アタックは、自分が前に出るべきところは強く出ます。スペースがあれば、もっとスピードのある人にはやくパスして、サポートしたり、オフロードパスをもらったり」
 声を出して指示することも忘れない。
 課題からも目をそむけることなく、スピード面についても改善を図る。ケガはもう二度としたくないから、リカバリーにも気を配る。


 当然、2020年の東京五輪を強く意識して生きている。3歳で始めた柔道でお世話になった方々も、最初は引き留めていたが、最後は「ラグビーで頑張れよ」と送り出してくれた。
「だから、そういった方々に恩返しするためにも、オリンピックに出ることで恩返しをしたいんです」
 自分のためだけでなく、周囲への気持ちもパワーに変えて、高い山を登り続けるつもりでいる。

 気持ちでは誰にも負けたくない。
「試合でも競争でも、最後まで絶対に勝負をあきらめない。そこも強味にしたいです。ディフェンスも勝負も準備が大事だと思いますが、その上で、最後は気持ち」
 仕事人として憧れるマット・トッド(クルセイダーズ/パナソニック)のようになりたい。小さくても世界で戦える、信頼される存在に。









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