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軽やかで粘り強い。ヤマハのクワッガ・スミスが本領発揮!


剛腕で東芝ボールに絡むヤマハのFLクワッガ・スミス(撮影:長尾亜紀)


 本当は高いのであろう鼻がひん曲がっていた。身長182センチ、体重95キロと国際舞台では決して大きくない身体なのに、何度も火事場に突っ込んできたからだろう。

 ラグビーの15人制、7人制の両方で南アフリカ代表選出経験がある25歳のクワッガ・スミスは、今夏から日本最高峰トップリーグのヤマハでプレー。10月6日はホームの静岡・ヤマハスタジアムで、東芝との第5節に挑んだ。開幕から続けての先発だ。

 軽やかだった。7−7と同点で迎えた前半21分だ。まずは敵陣10メートル付近で味方CTBのヴィリアミ・タヒトゥアが直進。周辺の防御を混雑させると、背番号7のスミスが眼光を鋭くする。接点にあるボールを拾い上げ、目の前の一本道を駆け抜ける。

「東芝のディフェンスが、ちょうど横にいた」

 細かいステップで追手から逃れ、22メートルエリアまで進む。WTBのゲリー・ラブスカフニのトライをおぜん立てし、スコアを12−7とした。

「狙っていたタイミングがやってきたのです。うまくできました。それが僕の仕事で、チームに貢献できるプレーのひとつだと思っています」

 粘り強くもあった。続く24分頃には自陣22メートルエリアでピンチを迎え、対するCTBのジョニー・ファアウリがやや角度をつけて走りヤマハの守備網を裂く。しかし、そのファアウリが倒れるやスミスが反応。楕円球に絡む。ジャッカルだ。

 東芝の藤田貴大、リーチ マイケルという両FLが引きはがしにかかるも、上腕のグリップを利かせてその場に吸い付いたままだ。寝たまま球を抱え込むノット・リリース・ザ・ボールの反則を誘い、東芝の得点機を防いだ。

「こちらも私の強みのひとつ。常にいい姿勢をとることを心がけていて、それがきょう、実現できた」

 以後も身軽なフットワークとスペース察知への意識を保ち、運動量と例のジャッカルで試合を引き締めた。ヤマハが看板のスクラムで強みを発揮したこともあり、27−7で勝利。南アフリカ発の殊勲者は、ただただ互いの健闘を称え合っていた。

「東芝もヤマハも、自分たちが意図したプレーを見せられる時間がありました。質の高い試合だったと思います」

 母国ではライオンズに在籍し、国際リーグのスーパーラグビーで3年連続準優勝。巨躯と巨躯とがぶつかり合う南アフリカのラグビー界において、身軽なFLは異彩を放っていた。

 来日後は、セットプレーの圧倒を戦術立案の柱とするヤマハに徐々に適応。2014年度の日本選手権以来となるタイトル奪還に向け、ホワイトカンファレンスでの戦績を4勝1敗とした。

「トップリーグでの試合展開はクイックです。それが僕にはとても合っています。重厚なラグビーは僕のスタイルではありませんので。かつ、トップリーグはスキルが高いリーグだという印象があります」

 13日には東京・秩父宮ラグビー場での第6節でキヤノンと対戦する。得難きスパイスのパフォーマンスが、引き続き注目されそうだ。
(文:向 風見也)

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