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【ラグビー登山家・長澤奏喜】東大阪市からの伝言をナミビアへ伝えに。

ナミビア代表選手たちと。「最高の準備をして日本へ行きます!」。(撮影/長澤奏喜)


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ひとりでトレーニングに励むナミビア代表SHユージン・ヤンチース。(撮影/長澤奏喜)


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車を運転していたら、たまたまヒンバ族の村を発見し、コンダクターなしで村を訪問。
「世界で最も美しい民族」と言われ、生涯で一度もお風呂に入らず、
その代わりにお香を身体に焚きつける。(撮影/長澤奏喜)


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ヒンバ族の方にラグビーボールを持たせると、不思議な表情で「何に使うの?」と聞かれた。
(撮影/長澤奏喜)



 2019年日本開催のラグビーW杯を盛り上げるための活動を勝手にしている。
 過去W杯に出場した25か国の最高峰にラグビーボールをトライするプロジェクト、『# World Try Project』を2017年3月実施中の長澤奏喜(ながさわ・そうき)さんだ。
 世界初のラグビー登山家は、いま、アフリカ大陸にいる。現地からのリポートをお届けする。


◆かつて赴任していたジンバブエにて。


 僕はかつて青年海外協力隊としてジンバブエに赴任していた。
 あれは2012年の年末だった。
 NHKが映るJICA事務所に隊員が一同に集まり、紅白歌合戦をワクワクしながら見つめていた。翌年にはTICAD X(第5回 アフリカ開発会議)を控えていたこともあり、衛星中継で隣国のナミビアからの中継だ。ナミブ砂漠で、歌手のMISIAが歌った。


 記憶が確かなら、そこにいたメンバー全員が固唾を呑んでその中継を見守っていた。
 今まで見たことのない圧巻の映像と歌声は、水と電気が止まり、思い通りに活動できず苦悩していた僕たちの心に潤いを与えてくれた。普段は日の目を見ることのない開発分野の人間たちの思いを代弁してくれているように思えた。
 後日、関係者から聞いた話によると、ナミビア政府はその放送のために普段ではおこなわない手続きや人のサポート等、色々と尽力してくれたらしい。


 ナミビアについてあまり馴染みがないかもしれないが、日本にとっては、国民的行事ともいえる紅白歌合戦の新たな1ページを共に作ってくれた国であることは間違いない。
 ナミブ砂漠の他にも、最も美しい民族と言われているヒンバ族がいる国として、しばしば紹介される国でもある。

 もっとナミビアについて説明すれば、1990年に南アフリカから独立した比較的新しい国家である。南アフリカの左上に存在し、人口は226万人。名古屋市とほぼ同じ人口だ。
 国土は日本の2倍ほど。首都に人口が集中しており、街に出れば乾燥した荒野が広がっている。人口の6パーセントを占める白人は植民地時代統治にされていたドイツ系移民と南アフリカから来たオランダ系移民が多い。
 首都ウィントフックの街並みは綺麗に整備され、アフリカ特有の混沌はない。どこかユッタリとした空気が流れている。

 南アフリカの影響を強く受けており、ラグビーはこの国でも国技だ。
 選手は全員アマチュアであるが、アフリカ大陸の王者を決めるアフリカカップでは8回もの優勝をしている。
 その一方でワールドカップでは1999年のウエールズ大会に出場以降毎回出場はしているものの、まだ勝ち星を得ていない。2019年の大会は6度目にあたり、選手たちは悲願の初勝利に燃えている。

 ナミビアのラグビー関係者に会いたくて、ラグビー協会を訪問した。
 同協会はスタジム内の敷地にあり、隣接しているトレーニングルームに案内された。そこでは代表選手たちがトレーニングに励んでいる中、白人女性のリハビリトレーナーが僕のそばに来た。
「何しに来たの?」


「おめでとうを伝えに来たんだ。ラグビーワールドカップへようこそ!」
 そう伝えるとクスクスと微笑んでくれた。
 そして、トレーニングをしている選手を集めてくれた。僕は、東大阪市から依頼を受けた伝言を伝えた。
「ナミビアは東大阪市にある花園スタジアムで1戦目を迎えます。僕たちは最高のスタジアム、最高の芝生を用意して待っているので、最高のプレーをして欲しい!」
 選手ははにかみながらも笑った。
 そして、「最高の準備をして日本に向かうよ」と力強い言葉を返してくれた。
(文/長澤奏喜)





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