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このスクラムを押した方が試合にも勝つ。サントリー、垣永真之介のいま。

NTTコム戦では65分、ピッチに立った。「声出し」も、この人の武器。
(撮影/松本かおり)



 背番号3は流大主将と同じことを言った。
「勝ったことだけが収穫でした」
 9月7日、NTTコムを20-18の僅差で破ったサントリー。PRの垣永真之介は戦いを終えて、激戦をそう振り返った。

 この試合、サントリーは鮮やかな立ち上がりを見せた。
 ブレイクダウンをハードに制し、自分たちのリズムを作る。試合開始から14分で13-0とリードを奪った。
 しかしその後、流れを失う。きっかけはスクラムでの反則だった。
 攻め込まれる。悪い時間からなかなか脱出できなかった。

 自陣深くのスクラムで反則をとられたのを機にトライを許した。前半途中からNTTコムに主導権を渡した。
 ハーフタイムを13-8で迎える。後半9分にもPGを与え、13-11と迫られた。
 思うようにいかなかった時間帯を垣永が振り返る。
「相手のスクラムは強かった。でも、それ以上にこちらがあちらに合わせてしまっていた」
 試合中も、仲間とそこを指摘し合った。

 苛立った時間もあった。
 しかし崩れることはなかった。立ち返るべきところを持っているからだ。
 自分たちのやるべきことを思い出し、集中した。
「すべてのルーティーン。低さやタイミング、細部など、いつもの自分たちのスタイルを、自分たちのリズムでやれば、という自信はありました。後半途中から、それを徹底しました」

 2点差に迫られた後、敵陣深くでペナルティを得たシーンがあった(後半10分)。
 スクラムを選択。そこから何度も攻めた。
 相手はたまらず反則をくり返す。
 そのたびに黄色と黒のジャージーは「スクラム」と勝負を挑み続けた(4度の反則で4度スクラムを選択)。

 その押し合いでNTTコムのコラプシングを誘ったり、圧力をかけた。
「押せると思っていました」と垣永は話す。
「あの場面(のスクラム)で勝った方が試合にも勝つと思った。ただ、あそこで押し切れなかった(スクラムトライを取り切れなかった)。そういうところも含めて、自分たちはまだまだ未熟だと感じました」
 結局、度重なるスクラムでの優勢は、CTB梶村祐介のトライを呼んだ(後半17分)。

 サントリーに加入して今季が5年目。2016年のサンウルブズ元年にはスーパーラグビーの舞台に立ち、同年6月の日本代表にも選ばれた。
 しかし、夏のトレーニング中に膝を大ケガ。トップリーグの舞台には一度も立てぬシーズンとなった。
 昨季9試合(先発6試合)に出場し、今季は開幕から2戦続けて先発。ふたたびのぼり坂を歩き始めたように見えるも、ここにたどり着くまでの時間は平坦ではなかった。

 噛みしめるように言った。
「過去の実績にすがってばかりで、自分に力がないことを認められない時期もありました。でも、そういう自分を見られたのはよかった」
 以前のような輝きを取り戻すには、いまの自分を、もっと高める以外に道はない。そう覚悟を決めて一歩一歩階段を昇り、いまここにいる。

 ケガをした頃より5キロ以上体重を落としたのは、自分の強みを、さらに磨くためだ。
「強いスクラムを組むのは絶対。その上で走ったり、ジャッカルなど自分の武器を持ち、監督の評価を得ないことには、試合には出られませんから」
 日本代表を率いるジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチの口から出た、「プレータイムのない人は(代表選出などの)判断ができない」の言葉が頭に刻まれている。
 いま、黄色と黒の3番を背負い続けることしか考えていない。






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