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ジョージアのスクラムに比べれば。専大PR石田楽人、「大東大戦が楽しみ」。

好きなPRは元チーフスで現ラシン92(仏)の巨漢、ベン・タメイフナ。
(撮影/松本かおり)



 あれを経験したら、ある意味、もう怖いものなしなんです。
 世界と戦った6月のことを、そう回想した。

 専修大学の3年生、PR石田楽人(いしだ・がくと)は、ワールドラグビー U20チャンピオンシップに日本代表の一員として参加した。
 プールAに入ってニュージーランド、オーストラリア、ウエールズに挑み、順位決定戦ではジョージア、アイルランドと戦った。結果的には全敗して下部大会への降格が決まったものの、どの国よりサイズで劣った日本代表の奮闘は立派だった。

 背番号1の石田は、その大会でチームのスクラムリーダーを務めた。
 多くの経験を得た中でも特別なものとなったのが、スクラムの強さなら世界最強とも言われるジョージア戦だ。
「トイメンの3番は、本当に20歳以下か? というような風貌でした。組むと、セカンドプッシュというか、うしろからの押しも凄くて、強烈なプレッシャーを受けました」
 国内での常識を覆すような圧力を経験したのだから、もうちょっとやそっとのことでは驚かない。
 その対応策も理解した。

 後日、ジョージア戦の映像を見返して気づいた。
「何本かしっかり組めたものもあった。そのシーンを見ると、相手の下に入り込んでいるものばかりでした」
 スクラムばかりではない。
「ディフェンスのシーンでも、そう。大きな相手を倒せたり、止めているときは、低いプレーをやれているとき」
 それらの経験は、この先のラグビー人生の中で宝となる。

 過去2シーズンは関東大学リーグ戦2部が戦いの舞台だった専大。しかし、昨季の入替戦で勝利したチームは今季から舞台を1部に移して戦う。
 石田は世界との戦いで学んできたことを、言葉やプレーでチームに還元中だ。
「(村田亙)監督にも、そうしてくれ、と言われました」
 気づいたことは遠慮なく口に出す。
 チームのスクラムはいま、低さを追求する。

 ラグビー愛好家の父・和彦さんの影響もあって、小学校に入る前から楕円球を追い始めた。グリーンラグビースクールで基礎を学び、中学時代は神奈川DAGSでプレーを続けた。
 ずーっとPRも、「大きな体で走れない選手でした」。
 桐蔭学園高校に入学して変わった。
「練習でたくさん走り、考えてプレーするようになった。効率よく動けるようにもなりました」

 専大に入ったのは、最初に誘ってくれたからだ。
 各大学スカウト陣の視線が注がれる高校2年時、夏頃まで右膝を痛めて戦列を離れた。復帰後はリザーブに名を連ねるも、チームは慶應高校に花園予選決勝で敗れて晴れ舞台を逃す。
 勧誘の声がなかなかかからぬ中で縁ができたのが、リーグ戦の古豪ながら、なかなか上位に浮上できない緑×白ジャージーの指揮官だった。
「誘ってもらえてありがたかった。(入学して)自分が強くしようと思いました」
 高校3年になってからの活躍であちこちから声がかかるも、気持ちがぶれることはなかった。

 進学を決めたときは1部にいたチームは、入学時には2部に陥落。ルーキーイヤーから2季を下部リーグで過ごすことになったが、今季、ついにそこを飛び出る。
 初めて戦う関東大学リーグ戦1部の初戦は大東大戦。スクラムに自信を持ち、強力なパワーを売りにする留学生を擁す。難敵に違いないが、石田は「楽しみしかない」と、太い上腕部をさすりながら笑った。
「低さを徹底し、いくつかのオプションを持って相手を惑わすことができるなら戦える」
 U20代表で学んだことを自ら率先して実践したい。

 話すと柔らかな受け答えも、試合になると攻撃的になる。
「けっこう攻めるタイプです」
 180センチ、113キロ。大学1年時までプレーしていた3番の気持ちを理解しながらプレーする。
「僕の持つイメージでは、3番は自分でグイグイ押していきたい。それをHOと一緒にサポートして上げる感じでプレーしています」

 個人的な今季の目標がある。
「(関東大学リーグ戦1部の)ベストフィフティーンに選ばれたい」。
 9月16日(秩父宮)の今季初戦で自信を得て、同年代のライバルたちとの距離をしっかりつかむ。 






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