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北海道・美幌出身のトップリーガー。NEC・大和田立の純愛。

昨季は15試合に先発し、1166分ピッチに立った。そして5トライ。(撮影/多羅正崇)



 フランカーの大和田立(おおわだ・たつる)は、北海道の東部、美幌町(びほろちょう)で生まれ育った。

 北見市や津別町と接する、人口約2万人のふるさと。好物はコーヒー専門店『時計台』のカツサンドだ。

「(美幌は)のんびりとした、自然豊かな住みやすい街です。冬はだいぶ寒くて、マイナス20度になります」

 その美幌町で2002年から夏合宿を行っているのが、NECグリーンロケッツだ。

 大和田は美幌高校ラグビー部のとき、NECが美幌町で開催したラグビークリニックに参加したことがある。

 そのときは、まさか自分がNECに入って美幌高初のトップリーガーとなり、中心選手の一人として活躍する日が来るなんて、夢にも思わなかった。
 
「高校時代、いまも現役でやっている土井貴弘さん、廣澤拓さん、あと内田涼さん(元NEC)からサインをもらいました。それを実家で見つけて、いま高校のときに憧れていた選手とやっているんだなと、感慨深くなったことがあります」
 
 2017年度、大和田はフランカーとしてトップリーグ全15試合に先発。大車輪だった。

 データに基づいたアタック、ディフェンスなどのチーム内ランキングでは、毎試合のように上位入り。コーチ陣の投票により、加入4年目で初めてチームMVPをもらった。

 身長178センチは大柄ではないが、約70センチある太ももは背丈に見合わない迫力。強靱な足腰を駆使したプレーに、こだわりがある。
 
「売りは下半身の強さです。ブレイクダウンで身体を張ることが好きなので、そういうところだけは負けたくないです」
 
 今でこそ愚直に身体を張るフランカーだが、高校入学までスポーツ経験はなし。旭小学校、美幌中学校と進みながら熱中したのは、TVゲームだった。
 
 しかし同級生の勧めもあり、部員数約20名の美幌高校でラグビーを始め、ロック、プロップ、NO8、フランカーなどを経験。

 大学は帝京大へ。元NEC総監督、ゼネラルマネージャーの相澤輝雄さんには、進路相談などで特にお世話になった。

 その感謝の念は、4年時に5連覇を達成した帝京大時代も忘れなかった。

 だから、決めていた。
 
「NECから声が掛かったら絶対に行く、と決めていました。声が掛かったときは『待ってました!』という感じでした」

 U20代表も経験し、鳴り物入りで入社したNEC。入社2年目には、美幌高校のひとつ上の先輩・沙織さんと結婚。大学時代は3日間の休みでも飛行機で帰省するなど、遠距離恋愛を乗り越えてのゴールインだった。

「奥さんが初めて付き合った人なので・・・。結婚まで、長かったですね(笑)」
 
 純愛をつらぬく相手は他にもいる。
 
「NECには、まだ恩返しという恩返しはできていません。今年はベスト4が目標ですが、優勝しないと恩返しはできないと思います。会社の方々も応援してくれるので、優勝して感謝の気持ちを表したいです」

 昨シーズンのNECは、FL村田毅(現日野)、SH茂野海人(現トヨタ自動車)、SO田村優(現キヤノン)らが退団。しかし蓋を開けてみれば6勝7敗で、ホワイトカンファレンス4位。
 総合順位は8位で、10→15→10と二桁だった順位が、逆に上がる結果となった。
 
「個人的な意見ですが、これまでは『スター選手がなんとかしてくれるだろう』というのがあったと思います。そういう選手がいざいなくなったら、みんなが個人で考えてプレーして、持ち味を出せるようになり、去年の結果につながったと思います」

 NECの今シーズン開幕戦は9月1日、東京・秩父宮ラグビー場で、豊田自動織機を迎え撃つ。

「去年は8位で、僕が入社してから一番良い順位でした。それをさらに上にもっていけるように、ハードワークしたいと思います」
 
 強く憧れ、仰ぎ見ていたNECで、これからも身体を張りたい。大和田の純愛物語はこれからも続く。
(文/多羅正崇)







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