セブンズ

サラリーマン兼日本代表候補の加納遼大、「浮き沈み」自覚して五輪見据える。


なの花薬局ジャパンセブンズ2018の明治大戦でプレーするSDS・加納遼大(撮影:松本かおり)

 サラリーマン戦士が東京オリンピックでのメダル獲得に挑む。
 
 7月1日、東京・秩父宮ラグビー場。7人制ラグビーの国内トップを争うジャパンセブンズへ、加納遼大がセブンズ・デベロップメント・スコッド(SDS)の一員として参戦した。

 本人は「1対1のディフェンスなどが課題」と反省も、ピンチを先回りして防ぐ防御や落ち着いたパスさばきを披露。7月20日〜22日にアメリカで開かれるラグビーワールドカップ・セブンズに向け、存在感をアピールした。

 見据えるのは、2020年のオリンピック東京大会だ。6月就任の岩渕健輔ヘッドコーチ(HC)は、いまのSDSのメンバーを「オリンピック1次スコッド」と位置づけ、本人たちにもそう告げている。もっとも加納は、努めて冷静さを保つ。

「私は気持ちの浮き沈みが激しい性格なので、そのこともあえて意識しないようにしています。(オリンピックへの)大きな意識は持っていますが、1次スコッドと言われたことで何かを変えるのではなく、いつも通りにやっていきます」

 身長172センチ、体重72キロの26歳。明大時代はSHとして活躍も、国内トップリーグのクラブへの加入が叶わず。一般的な就職試験を受けて明治安田生命へ入社し、地域リーグにあたるトップイーストリーグ・ディビジョン1加盟のラグビー部、ホーリーズでプレーしていた。

 新たなチャンスに出会えたのは、2016年秋だった。

 当時の男子7人制日本代表は変革期を迎えていた。8月のリオデジャネイロ・オリンピックで4位入賞後、ダミアン・カラウナ新HC(当時)を招いて新たな人材を発掘。加納は11月にあった代表候補合宿へ練習生として呼ばれ、翌2017年1月に「HSBC ワールドラグビーセブンズシリーズ 2016-2017」のニュージーランド大会へ出場。以後、代表選手としてキャリアを積んできた。

 ポジションはスイーパー。攻めては接点から球を出し、守っては最後の砦として前方のほころびをカバーする。2018年に入れば、成長を自覚した。

「去年はただがむしゃらにやっていましたが、今年は考えてできるようになりました。後ろからディフェンスを見ていて、どこが危ないのか(を察知する)という勘が冴えてくるようになりました」

 世界で戦うようになって、バックアップも受けるようになった。

 一時はフルタイムで働きながら代表活動に関わっていたが、いまは平日に週に2、3日程度、会社から有給休暇とは別な休業日を与えられている。東京・西が丘の国立スポーツ科学センターでSDSメンバーの林大成(日本協会・7人制専属契約選手)と身体を動かすなど、平時の過ごし方を充実させる。

「トップリーガーとの実力の差を埋めるにはトレーニングを…と、すごく理解をしていただいています。だいぶ、ありがたいです」

 ジャパンセブンズにおけるSDSは、国内チームを相手に3試合で5トライを失うなど守備に課題を残した。もっとも各選手は、始動したての岩渕体制に手ごたえをつかみ始めている。加納もそのひとりで、「強調されるのは、準備です。一人ひとり、準備を大事にしろと言われています」。本番でキックオフと同時に力を発揮できるよう、キャンプ中の練習時から集合前のウォーミングアップを入念におこなう。

「(直近の)ワールドカップを目標としていますが、オリンピックを一番に考えて合宿に臨んでいます」

 さかのぼって2016年夏。いち観戦者として、リオオリンピックで男子7人制日本代表がニュージーランド代表などを倒す姿に感動した。

 ところが、「凄いだろうと一般の人に言っても、(その相手が)観ていなかったりするんです。それはメダルを獲っていないから」。少々、寂しかった。次の東京オリンピックでは、自ら国民を驚かせたい。
(文:向 風見也)

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