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日本代表スクラムの顔に成長、PR具智元(グ・ジウォン)

常に指示を出し声を出せるようになった具智元(左)
(撮影:見明亨徳)


 2018年6月、日本代表はイタリア代表、ジョージア代表と3戦を戦った。すべてにPR3番で韓国出身、具智元(グ・ジウォン/Honda HEAT 所属)が出場した。

 具は、スクラムで敵を押し続けた。ボールをもらうと短い距離だが走り地域を獲得した。また、ラインアウトでも声を出し仲間に指示を出した。日本代表の出場数(CAP)は、これで5になった。23歳、体重122kg、身長183cmの青年は、日本代表のスクラムの顔へ成長を遂げている。

 具は話す。「イタリアのスクラムから圧力は受けなかった。8人で正しく押せば勝てる」。
 スクラム王国ジョージアに日本は、負けなかった。後半8分、ジョージア・ゴール前のスクラム。ジョージアボールを日本は、押して圧力を加えた。結果、ジョージアはボールを落とし日本はボールを奪い、最初のトライにつなげた。
 「最初のスクラムで今日は大丈夫と思いました。ジョージアのスクラムは予想より圧力がなかった。しかし体重をかけたり、引いたりする駆け引きは上手。勉強になった」と振り返る。

 ジョージア戦、スクラムの駆け引きで具が反則を取られた場面に成長が見えた。悔しさを表情に出した。レフリーに話し、PR稲垣啓太やHO堀江翔太と話しあった。
 長谷川慎スクラムコーチは、日本代表の前にサンウルブズに加わった。以来、具の素質を認めつつも苦言を呈してきた。「気持ちが優しい。スクラムの1対1の練習で負けても悔しさを見せない。自分の中に抑え込んでいる。変わらないといけない」。サンウルブズの試合では控えに回ることも多かった。
 日本代表の練習時、常に声を出しコミュニケーションを自分から取るようになってきた。サンウルブズ3年間の経験を成長へつなげている。

 父親はラグビー元韓国代表PRの具東春氏(グ・ドンチュン)。中学時代にニュージーランドへラグビー留学。中学3年で大分県へ。高校、大学、社会人と、兄・具智允(グ・ジユン/Honda所属、SO/CTB)と同じ道を歩む。
 2016年2月、拓大4年時にサンウルブズのジャージーをまとい日本代表に近づいた。ケガもあったが2017年11月に日本代表に選ばれてフランス遠征、トンガ戦で初キャップ、続いてフランスと戦った。
 韓国北部の京畿道・江華に住む両親(東春氏、母・李ウンスク氏)は、今年は第1戦、第3戦に応援にやって来た。
 東春氏はジョージア戦を見て「イタリアよりも強い。きちんとバインディングしないと負ける」と分析した。親子とも日本代表の長谷川スクラムコーチに絶大な信頼を寄せている。
 「長谷川さんが日本のスクラムを強くしている」(東春氏)。

 東春氏と長谷川コーチの日韓戦での対戦はない。東春氏が1984年10月、20歳だった延世大生の時に初めて日韓戦に出場した(PR3番)。以来、本職のPR1番で1994年まで日本と戦った。長谷川コーチの日韓戦デビューは1998年となる。
 ふたりは数年前、韓国でスクラム理論を語り合ったこともある。東春氏は韓国高校世代の代表監督や高校監督の経験がある。韓国でスクラム理論派として知られる。今でも大韓ラグビー協会から「フォワードを見て欲しい」と要請されるも「子どもが日本でプレーしているので」と断り続ける。
 もしも韓国代表にフォワードコーチとして参加し智允も代表入り、日本と戦う機会があれば、親・兄弟対決にスクラム理論派コーチ対決が見られる。

 2018年は、まずトップリーグに挑戦する。日本代表は11月、世界ランキング1位のニュージーランド、ラグビーの母国イングランドと戦う。2019年は年明けからサンウルブズ、日本開催の「2019ワールドカップ」へ選ばれ続けて出場したい。
 「スクラムはもちろんですがフィールドプレー、タックルスキルもアップしたい」(具)。
 ワールドカップに出場すれば、韓国から留学で来日した選手では2番目となる。

※ 最初の選手は2007年大会に出場した金哲元(近鉄ライナーズSH、韓国・養正高から三重・朝明高に留学した)。
(文:見明亨徳)

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韓国から両親も応援に(撮影:見明亨徳)

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