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31歳で初キャップ。日本代表FL西川征克が見た景色。

181センチ、95キロ。派手なプレーはなかったが、「やれることはやれた」。
(撮影/早浪章弘)



 31歳でたどりついた。
 よりよい選手になりたい。つかんだポジションを渡したくない。
 そんな思いでラグビーを続けていたら、評価され、この国の代表チームの一員としてピッチを駆けることができた。

 6月23日、28-0とジョージア代表に完勝したジャパン。その試合の後半最初から、背番号21を付けてピッチに立ったのがFL西川征克だった。
 サントリーサンゴリアスに加入して9年目。今年3月にNDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド)に選ばれ、その後、JAPAN AとしてスーパーラグビーNZ勢の予備軍と戦う。
 トップリーグと代表候補活動でのパフォーマンスを評価され、代表入り、そして初キャップをつかんだ。

 大阪・文の里中でラグビーをはじめ、東海大仰星高校、関西学院大学とプレーを続けた。
「高校時代はオール大阪にも選ばれていません。大学時代に関西学生代表に選ばれたぐらい」
 サントリーで常時試合に出られるようになったのも2016年度シーズン、入社7年目からと遅咲きだ。同ポジションの佐々木隆道が日野自動車に移籍したことをきっかけにチャンスをつかみ、必死にポジションを守り続けた。
「(佐々木隆道の移籍で出場機会を得て)それまで頭の中にあった知識やイメージを試合の中で実践できるようになったことで成長できた。そして、(FLは)みんなが狙い続けているポジションです。必死にやらないと奪われる。そんな気持ちでやり続けたこともよかったのかもしれません」
 サンゴリアスでの進化が道を開いた。

 ジョージア戦を終え、西川は「誇りを持って挑みました。自分のプレーはできたと思います。みんなに頑張れと励まされ、やるべきことはなんとかやれました」と話した。
 初めてのテストマッチレベルはタフだった。
「フィジカルレベルの高さを感じました。40分で80分戦ったような。重いし、痛い。疲れました。タックルやブレイクダウンで、相手の嫌がることをして、プレッシャーをかけ続けたつもりです。これだけ強い相手でも、しっかりタックルに入ったら倒せました」
 サントリーに戻っても成長し続ける。それが11月にふたたびサクラのジャージーを着ることにつながると理解している。

 イタリア戦には出場できなかったが、その間もレベルの高い仲間に囲まれる環境の中でコツコツ努力を続けた。
「(試合出場機会がなく)複雑な気持ちもありましたが、サントリーがブランビーズに勝つなど、チームメートの頑張りを見て自分も…と思い、早く出場したいという気持ちを強くしていたんです」
 初キャップ獲得は、自分の力だけではない。「成長させてくれたチーム、仲間、家族に感謝したい」と言った。

 グラウンドを離れれば、大型スーパー相手に酒類を売る営業マンとして日常を過ごしている。
 その仕事での経験を踏まえ、「ゼロをイチにすることが、どれだけ大変か分かっているつもりです」と、日本代表キャップを手にすることの難しさを口にしていたのは6月初旬。「ゼロをイチにしてこそ見える景色があると思う」と意欲を語った。
 ジョージア戦に出場して出会ったのは、どんな景色だったか。
 きっと、新たな闘志の火を燃やしている。







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