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スペイトのステップを秩父宮で。日体大・石田大河、豪州での進化を振り返る。


日本体育大3年の石田大河。ポジションはCTB、FB(撮影:向 風見也)

 日体大ラグビー部の石田大河は、貪欲だったのがよかった。

 身長176センチ、体重85キロの身体には、ヘンリー・スペイト直伝のステップを搭載。オーストラリア代表として2015年のワールドカップ・イングランド大会に出た陽気なフィジアンから得た宝物を、大舞台でも繰り出したい。

「ヘンリーの人間性、意識の高さも、近くにいて感じました。ヘンリーはフレンドリーで、選手じゃない僕たちを含め周りをよく見ていました」

 熊本の九州学院高から日体大入りした経歴は、昨季主将だった兄と同じだ。清水建設でプレーする2学年上の一貴は、昨季の始動前にオーストラリアへ留学していた。弟の大河は、やはり兄と同じく昨季オフに渡豪した。2月初旬から約2か月間、スーパーラグビーのブランビーズの育成機関(アカデミー)や、ユニノースという地元のクラブチームなどで練習をおこなう。

 現地では、自発的に行動してきた。

 もともと本家ブランビーズとの合同練習などは予定されていなかったものの、できる限りブランビーズの練習時間にもグラウンドへ出かけた。かつてサントリーにいて少し日本語がわかるピーター・ヒューワットBKコーチへ、片言で「一緒にやりたい」と頼んだ。球拾いや雑用を買って出た。

「ブランビーズが午前、僕ら(アカデミー)は午後に練習。一緒にできる機会はなかったんですけど、同じグラウンドでトレーニングできていた。何かを学びたいと思っていました」

 思いが伝わったのだろう。石田は、次第にスーパーラグビープレーヤーたちと交流できるようになった。ここで特に親しくしてくれたのが、スペイトだったという。
 身長186センチ、体重97キロというサイズを誇るWTBのスペイトは、石田を見つけると両手を胸の前に合わせて「コンニチハ!」と日本語で挨拶。全体練習の終了後、石田に個人レッスンを施したこともあった。得意のステップの極意を身振り手振りで教えた。

 石田はこの瞬間を、「そんなに長い時間ではなかったですが、その時間が貴重でした」と大切に振り返る。

「教わったのは本当に基本的なこと。トッププレーヤーもこういう(基本的な)ことを大事にしているんだと思えました。ヘンリーから『僕はこういうステップを踏んでいるよ』というものを5つくらい教えてもらって、自分も実際にそれをやってみたりも。(現地では)毎日計4時間ウェートと練習と、こっちでは経験できないハードさがありました。それにヘンリーと1対1でステップ練習もした。自信になっています」

 日体大が2008年度以来の大学選手権出場を目指すなか、「外国人とのコンタクトを通し、激しさは学んできた」。4月からの関東大学春季大会では増幅させた攻撃力を発揮し、このほど関東大学オールスターゲームに出ることとなった。6月24日、対抗戦選抜のメンバーとして東京・秩父宮ラグビー場に立つ。

 内なる貪欲さで磨いた切れ味を、他大学のファンへも披露する。
(文:向 風見也)

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ブランビーズの人気選手であるヘンリー・スペイト(Photo: Getty Images)

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