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「先にイタリアに勝つ」は叶わなかったけれど。ヤマハSO清原祥の決意。

174センチ、77キロ。アグレッシブな司令塔。(撮影/松本かおり)



 試合前、日本を代表するSHとなった同期に、こう伝えた。
「ゆたか(日本代表SH流大)には、先にイタリアに勝つぞ、って言ったんです」
 しかし、有言実行とはいかなかった。

 6月2日、長野Uスタジアム。ヤマハ発動機ジュビロは、イタリア選抜に19-52で敗れた。SO清原祥(きよはら・しょう)は自らのランで前半5分に先制トライをを奪ったものの、チームを勝利に導くことはできなかった。
 巧みなオフロードパスの連続に防御を崩され、大量失点を喫した。

 清原は熊本・荒尾高校時代、流と同期でハーフ団を組んでいた。卒業後は東洋大に進学。トップリーグ入りは流より1年遅くなったものの、ジュビロ加入のルーキーイヤー(2016-2017シーズン)から出場機会をつかんだ。
 2年目の昨季もシーズン序盤はピッチに立つ。着実に力を伸ばしている。

 3年目となる今季、イタリア選抜戦で10番を任されたのも期待の表れだろう。長くチームのゲームメイクを担ってきた大田尾竜彦は昨季を最後に現役を退いた。
 チャンスだ。
 そう感じると同時に思う。
「(大田尾さんが現役の頃、自分は)これまで甘かった。責任感が出てきた」
 本気でチームを牽引する気になっている。

 イタリア選抜戦の序盤、ヤマハのアタックは軽快だった。
 テンポ良し。キレあり。意図した通りにボールを動かし、相手を圧倒した。
 その時間帯をコントロールしたのが清原だ。
 はやく、長いパスを左右に配る。自ら仕掛ける。奪った先制トライも、タテに走り込んで防御を突破し、トライラインを越えた。
「試合の入り、相手は対応できていなかった。やれない相手ではないな、と感じました」

 しかし、時間の経過とともにイタリア選抜がペースをつかむ。オフロードパスをつなぎ、倒れてもサポートの選手にパスを浮かす。
「ぐいぐい食い込まれてしまいました。こちらのコミュニケーション不足もあったかもしれません」
 チームは、この試合にターゲットを絞って準備を重ねてきたが、勝利には届かなかった。司令塔として責任も感じた。

 国の代表チーム相手から勝利することはできなかったけれど、国内チーム相手ではなかなか得ることは難しい圧力を体感した清原。自身も、「日本代表にならないとできないような相手と試合ができて光栄」と言った。
 そんな、ごまかしのきかない相手だったから、課題が露わにもなった。
「弱い相手だと何をやってもうまくいく。でも、FWがゲインできなかったり、厳しい状況になると出口を見つけられなかったりする。そこを変えていかないといけない」
 克服していかないといけない点は自覚している。

 マット・マッガーンらライバルとの競争に勝たないと10番を背負うことはできないが、SOとして、自分をアピールすることより、チームに求められていることに集中する。
「タツさん(大田尾/現BKコーチ)のようなゲームコントロールをやれるようにしていきたい。それができた上で、ランとか、自分の強味を出せるようにしたい」
 本当は、師と仰ぐその人が現役の内に追い越したかった。
 それは叶わなかったけれど、進化のスピードを高め、その日をできるだけはやく迎えるつもりだ。

 まだ3年目と言っている余裕はない。
 高校時代にコンビを組んでいた同期は帝京大で日本一チームの主将になった。日本代表のキャップを重ね、トップリーグを2年連続で制したチームのキャプテンを務め、サンウルブズも率いている。
 自分も、ジュビロを勝利に導く存在にならなければ。
 シックスネーションズで揉まれる相手を振り回した時間を80分続けられるSOになる。







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