女子

ハンドオフで前へ。サッカーから転向5年目、サクラセブンズ小笹知美の可能性。

現在は北海道バーバリアンズディアナに所属している。(撮影/松本かおり)



 前にグイグイ出る。小笹知美の表情は自信に満ちていた。
 熊谷と府中でおこなわれていた女子セブンズ日本代表(サクラセブンズ)の候補合宿が5月25日に終わった。参加した13選手は6月8日に始まるHSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズ 2017-2018第5戦 フランス大会へ向けての準備をくり返した。

 172センチ。小笹はチーム最長身だ。パワーには自信がある。
 5月12日〜13日におこなわれたワールドシリーズのカナダ大会(ラングフォード)では、チャレンジトロフィー優勝を決めるスペイン戦(9位決定戦)で忠実なサポートランから決勝のトライを挙げて勝利に貢献した。
 ラグビーを始めて、まだ5年目。2020年のオリンピック出場へ向け、成長のスピードを高めている。

 大学4年時までサッカー選手だった。
 鳥取県出身。米子高校でサッカーを始め、吉備国際大学へ進学して女子サッカー部でプレーを続けた。同サッカー部は全日本大学女子サッカー選手権で優勝し、なでしこリーグにFC吉備国際大学シャルムとして参戦していた強豪。そんな環境で揉まれていた。
 ポジションはサイドバック。ただ、試合出場の機会はあまり多くなかったから将来の目標設定は曖昧だった。
 そんな中で転機が訪れる。4年生だったある日、クラブのトレーナーがラグビー挑戦の機会を教え、すすめてくれたのだ。

 日本スポーツ振興センター(JSC)の「ナショナルタレント発掘・育成プロジェクト」だった。五輪競技となった女子7人制ラグビーの新たな才能発掘を目的とした同プロジェクト。長身やスピード、パワーを条件に公募され、体力テストや競技専門トレーニングを経て第1号の合格者となったのが小笹だった。
 2014年4月、ラグビー人生が始まる。TKMに所属し、楕円球漬けの日々を送ることになった。

 それから丸4年。短期間のうちにサクラのジャージーを着るだけのレベルに達したのだから、その成長のスピードは相当なものだ。
 セブンズ学生日本代表(2014年)、日本選抜(2015年)と成長の階段を昇り、セブンズ日本代表にたどり着いたのは、2017年6月におこなわれたワールドラグビー女子セブンズシリーズ 2016-2017・第7戦 フランス大会だった。
「ただその頃は、まだ自信が持てなかった。必死にやっていただけでした」

 それが変わってきたのは、昨年12月アタマのセブンズ ワールドシリーズ2017-2018・第1戦・ドバイ大会あたりからだ。
「イングランド戦でトライを取ったり、結果を残せるようになって少しずつ自信を持ってプレーできるようになってきた感じはします」
 チームに期待される自分の役割を理解してプレーする。
「ボールキャリーでゲインする。ディフェンスで激しくプレーする。そういったことにフォーカスしています」
 ハンドオフをしながら前に出る姿がよく見られる。「足が速くない。でも体はそこそこ大きいので」と自分のことをよく理解し、我がスタイルを築いた。

 ラグビーを始めた頃は60キロだった体重は73キロになった。
 ただ、重いとは感じない。筋肉の量が増え、引き締まっている。自分が先頭を切って走り、ゲインすることがサクラセブンズのスタイルを出すことにつながるのだから、もっと激しく、さらに大きくなることが求められていると自覚する。
「去年サクラセブンズでプレーし始めてから、もう1年。それを考えると、オリンピックまでの約800日というのは、すぐにやって来る。その舞台に立てるかどうかは自分次第。誰よりも努力するのは当たり前だと思います」
 いま26歳。大舞台へ、誰よりも濃密な20代を過ごす。







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