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「いい選手がいる強み活かしきれてない」。明大、春季3連勝に浮かれぬわけ。


流経大戦でプレーする明大主将のSH福田健太(撮影:谷本結利)

 明大は今季、関東大学春季大会Aグループで開幕3連勝中だ。

 まずは4月30日、北海道・札幌ドームで9季連続大学日本一の帝京大を17−14で下す。続く5月6日には、東京・秩父宮ラグビー場で東海大を62−33で撃破。さらに5月13日は、静岡・草薙総合運動公園球技場で流経大を61−14で制した。

 強いですね、と聞かれた時の福田健太主将の「まだまだです」という答えが、かえっていまの姿を表していた。今季の明大は、好結果に潜む改善点を見つめて進化を図っている。福田主将は言った。

「常に日本一を見据えた戦いをしなきゃいけない。たくさん点を取った後に気持ちの余裕…ではないですが、そういうもの(それに近いもの)が出てきてしまっている部分がある。練習から隙をなくすように、僕らからもアプローチしていければと思います」

 6日の東海大戦では、前半を50−7と圧倒しながらメンバーを入れ替えた後半は26失点。流経大戦を前に、田中澄憲新監督は「前回(東海大戦)のようにならないようにしよう」と話していた。

 当日は福田主将いわく、「立体的にアタックを。キックも使ってエリアコントロールを」と雨中にふさわしい戦い方を選ぶ。

 特に7−0のスコアで迎えた前半10分以降だ。敵陣中盤でフェーズを重ねるなか、SHの福田がせりあがった相手防御の裏へキック。球を敵陣22メートルエリア右へ転がす。直後の明大FW陣のチェイスで、苦し紛れの蹴り返しを誘う。

 それを拾った明大の選手がタッチラインの外へ出るも、流経大は自陣22メートル線付近左でのラインアウトを確保し、球を蹴り出すのがやっとだ。

 その球は自陣10メートル線付近右まで飛んだが、明大のWTBである石川貴大が難なく捕球。さらにその左奥では、4人の選手が幅広いラインを形成。流経大が守備要員を揃える前に、カウンターアタックを仕掛けた。

 その流れで明大のWTB矢野湧大が自陣中盤左でハイタックルを誘うや、SH福田がペナルティキックから速攻を仕掛ける。そのままインゴールを駆け抜けた。直後のゴールキック成功で、14−0。

 明大は続く15分にも、戦略的なキックの後の攻めで21−0と点差を広げる。以後はノックオンを犯しても、相手ボールスクラムを押し返した。前半だけで35−0とほぼ勝負を決め、田中監督は「難しいゲームになるとは思っていましたけど、入りがよかったのでよかった。きょうは雨なので、多少キックを使わなきゃいけないと選手同士で話してくれていた」と振り返った。

 流経大のNO8、粥塚諒にはこう言わしめた。

「明大さんのいいアタックに対してディフェンスで前に出ようと練習してきたんですけど、どんどん明大さんのテンポで進められた。キック処理の部分も課題です」

 東海大戦で課題となった後半も、まず2分にWTBの矢野がフィニッシュ。初めて失点して9分には、ペナルティキックからの攻めでHOの武井日向がインゴールを割る(ゴール成功で49−7)。

 先発SHの福田主将らが退いていた33、39分にも加点し、田中監督は「ちょっと中だるみはしかけましたが、最後は締めた。前回よりは成長してくれた」。シーズン本格化は秋以降とあって「大事なのは、最後に勝つこと。ピークはまだまだ先です」とくぎを刺すのも忘れなかったが、指揮官は総じて部員の頑張り称えた。

 もっとも福田は、あえて厳しいレビューをする。

 対する新人WTBのイノケ・ブルアに1トライ1アシストと走られ、攻めても球を失うことがあった。これらの原因を、選手交代後の連携不良に見たのだろう。全国から実力者の集まる明大のリーダーとして、こう反省したのだった。

「いい選手がたくさんいて、先発の15人だけでなくリザーブを含めた23人で戦えるのが明大の強み。ただ、それをまだ活かしきれてないのかなと思いますね。自分たちのやるべきことを80分間やり続ける、ということができていない。(今後は)4年生が自覚して後輩たちをリードしていくのが大事です。あとは後半から出るメンバーの役割を明確にしていけば、80分間、23人で戦えると思います。秋になって疲労、けが人が出てきたなかでは、選手層の厚さが強みになる。そこを目指してやっていきたいです」

 
 普段は寮内で愚痴を言わないよう4年生に働きかけるという福田は、22年ぶりの大学日本一を目指すにふさわしい態度を追い求めている。まずは他校との相関関係より、自軍の出来だけを見つめる。

(文:向 風見也)

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