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「積み重ねが大きい」。サンウルブズ・福岡、試合を締めたプレーを振り返る。


スクラムの後ろでレッズのラインをチェックする福岡堅樹(撮影:松本かおり)

 サンウルブズの福岡堅樹は、今季のスーパーラグビーでの初勝利の背景に「積み重ね」を見る。

 5月12日、東京・秩父宮ラグビー場。開幕10戦目にあたる第13節でレッズを63−28で破った直後、右WTBで先発フル出場の福岡は「いままでの積み重ねも大きいと思います」。例えば、レッズのストレートな攻めを封鎖できたのは、自軍の組織防御へ微修正を加えてきた結果だという。

 選手間の幅を取って列をなし、鋭く前に出ながら2人がかりでタックルを放つ。相手の得意とするオフロードパスを防ぎながら、ゆとりを持って次の防御網を作る…。過去9戦でのレビュー結果にレッズ戦への準備を重ね、当日は確かな手応えをつかんだ。

「ディフェンスの部分でしっかりと上がり続けられた。ストロングキャリアがいるのをわかっていたので、絶対に前に出て2枚で入る。外からはランナーが好きに走るスペースを与えないために、コミュニケーションを取って枚数をコントロールしていました」

 筑波大の2年だった2013年に初めて日本代表に入ったスピードスターは、身長175センチ、体重83キロの25歳。今季のスーパーラグビーのシーズンでは、怪我の治療を経て4月中旬のニュージーランド遠征中に合流していた。

 この日は片側のWTBであるホセア・サウマキが3トライ奪取でチームを彩った一方、福岡はチームの根を支えた。持ち前のランと同時に、防御や連携の領域でも力を発揮した。

 相手に間合いを取られた場合などは、守備ラインの飛び出しを制御。自軍の防御要員をキープしながら相手の出方をうかがい、攻めを手詰まりにさせようとしていた。

「上がり切るのか、回されるから危険に備えて下がるのか。そこは、WTBが判断して声を出すようにしています。特にこっち側は特に大きなゲインをされなかったので、よかったのかなと思います」

 スタンドも沸かせた。

 19−14と5点リードで迎えた前半32分ごろだ。自陣ゴール前左の相手ボールラインアウトから攻め立てられるなか、右中間に立つ福岡は相手の緩やかなロングパスの弾道へ駆け込む。インターセプト。快足を飛ばした。同10メートル線付近で芝に足を取られるまで、追っ手に阻まれなかった。

 一連の判断について問われると、「相手(の攻撃)がトラブっているのが見えた」。幼少期からWTBでプレーしてきたとあって、タッチライン際からの観察力には自信があるだろう。

「ああいう時は、ふわっとしたボールが来やすいので、(インターセプトを)狙うようにしていました。…結果、自分で滑っちゃってトライまではいけませんでしたが」

 29−14とリードして迎えた後半も、相手のミスボールをセービングするなどしてゲームを引き締めた。大量点差で勝った後も、決して大げさなことは言わなかった。

「今日(レッズ戦勝利)だけが特別なのではなく、これまでやってきたことの全てが、積み重ね。勝利の余韻に浸るだけではなく、もう一回、反省して、目の前のことに集中します」

 19日に香港でおこなわれるストーマーズ戦が終わると、チームに参加する日本代表選手は6月のテストマッチ(国際真剣勝負)に向けて一時離脱。休息を経て、宮崎で合宿を始める。貴重な「積み重ね」を、代表に合流するサンウルブズ以外の選手とも共有したい。
(文:向 風見也)

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