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サンウルブズの姫野、レッズ戦で見せたい「ラピースから学んだこと」とは。


4月のブルーズ戦で前進を試みるラブスカフニ。サポートにつく姫野(Photo: Getty Images)

 仲間を救うタックルとボール奪取で光ったピーター・ラブスカフニが、4月限りでサンウルブズを離れた。

 周りを鼓舞する前向きな声がけにも定評のあったラブスカフニは、直近のニュージーランド遠征中は2戦続けてゲーム主将を張った。頼られた。ところが、国内所属先のクボタとの間であらかじめ決められていた「派遣期間」を延長できず、サンウルブズ側は愛称「ラピース」を手放すこととなった。

 仲間たちが離脱を知ったのは、「ラピース」にとって最後のニュージーランド遠征の只中だったようだ。

「これでラピースは最後に…」

 ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチが皆へ向けて言った言葉に、姫野和樹は驚きを隠せなかった。身長187センチ、体重108キロの体躯でLO、FL、NO8を務める23歳の姫野は、29歳の謙虚な南アフリカ人FLになかば師事していた。離れることが寂しく、残念だった。

「ラピースは、こいつのために体を張りたいと思わせる選手です。いい男でした。大好きです」

 サンウルブズが戦う国際リーグのスーパーラグビーは、ここまで12節を消化。中断期間を挟んで開幕9連敗のチームは5月12日、東京・秩父宮ラグビー場でレッズとの第13節に挑む。殊勲のラブスカフニがいないいま、NO8で先発予定の姫野は言う。

「勝ってラピースが喜んでくれたら。ラピースから学んだことは多い」

 姫野が「ラピースから学んだこと」。そのひとつがタックルだった。

 海外勢より骨格の大きさで下回るとされる日本人は、低い姿勢でのタックルが奨励されがちだ。ところが国内で上半身の強さを売りにしてきた姫野は、「僕も低くいかなきゃと思っていましたが、下に行くと受けちゃう」。身をたたんで相手に迫る過程で、どうも受け身になってしまうという。ジョセフには「タックルの際、受けている」と成功率の低さを指摘された。シーズン序盤から、姫野は自身のタックルの精度が課題だと言い続けていた。

 トンネルを抜け出すヒントは、ラブスカフニのプレーにあった。ラブスカフニは相手の足元へ突き刺さったり、みぞおち当たりに勢いよくぶつかったりと、ポジショニングや相手との力関係などによってさまざまな種類のタックルを放っていた。

 かたや姫野は、シーズンを重ねるなか「昔から『日本人は外国人より小さくて弱いから…』という見方で練習をしていますが、やってみたらフィジカルで負けているとも思わない」と実感していた。自身と似た体格のラブスカフニが低くない姿勢でタックルするのを見て、目からうろこが落ちたようだ。まねてみると…。

「相手の中段あたりを狙ってタックル。それが自分の中ではすごくはまって…」

 ニュージーランド遠征中にも手ごたえをつかんだシーンをいくつか作り、「こういうタックルでも負けない。それが自信になっている」。やや高い姿勢でのタックルでも海外勢と伍したことを「自信」につなげるまでに至った。

「僕よりでかい相手もいるので低くいくのも大事です。ただ、タックルの種類と幅が増えた点で成長を感じられる」

 昨季は帝京大を経て入社したトヨタ自動車で主将として国内トップリーグ4強入りを果たした。同年に日本代表入りし、いまも代表のレギュラー候補と目されている。スーパーラグビーでの成長実感を、ナショナルチームに還元したいと考える。

 もっとも、まず見据えるのはラブスカフニと別れて最初の試合だ。

 当日は自分より身体の大きな選手がずらりと並ぶレッズを前に、ラブスカフニから体得したタックルを何度も繰り出したい。

 これまでの敗因を「80分間、(目指すプレーを)やり切る力がない」と謙虚に認めながら、「フィットネス、メンタル…。問題はいろいろあると思いますが、改善できないわけではない。いい方向に行っているのは確か」。内なる成長実感と前向きな宣言を、結果で証明しにかかる。
(文:向 風見也)

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