国内

まず、ラグビーで王者を超える。明大ラグビー部、田中澄憲新監督就任会見。

2月にはイングランドへ。イングランド代表、エディー・ジョーズ監督のもとで学んできた。
(撮影/松本かおり)



 ラグビー部が勝たないと大学に元気が出ない。そう口にしたのは土屋恵一郎学長だった。
 期待の大きさがうかがえた。
 新指揮官の周りには、同学長をはじめ、柳沢敏勝スポーツ振興担当副学長、大六野耕作ラグビー部部長(国際交流担当副学長)、丹羽政彦ラグビー部監督、笹田学ラグビー部OB会副会長らが座っていた。
 誰もが穏やかな笑顔だった。

 3月2日午後、明治大学駿河台キャンパスの紫紺館で、明大ラグビー部・田中澄憲(たなか・きよのり)新監督の就任記者会見が開かれた。
 2017年度の全国大学選手権、明大は19年ぶりにファイナリストとなり、準優勝の成績を残した。帝京大に敗れ、王者に9連覇を許したもののスコアは20-21。チームを4年率いた丹羽監督がチーム力をじりじりと高め、昨季新しく加わった田中ヘッドコーチが、長く立ちはだかっていた壁を越えるスパイスを加えた。
 そんな状況の中でのバトンタッチに、右肩上がりでの上昇が期待されている。

 丹羽監督が「魅力あるクラブにするためにやってきた」と振り返ったのに続き、新監督が心境を口にした。
「昨シーズンはヘッドコーチとして、丹羽監督とともに大学日本一を目指しましたが、悔しい結果に終わりました。(勝つために必要だった、あと)2点は大きなものだと思っています。今シーズンは優勝しかない。チーム全員でそこを目指したいと思っています。ラグビーの面では、昨シーズンから取り組んでいる、強度の高い練習、基本を大切にすること、そしてコミュニケーションに重きを置いて取り組んでいきたいと考えています」
 一つひとつの言葉に力があった。

 元日本代表SOで、2017-2018年シーズンは日野自動車のトップリーグ昇格にコーチとして貢献した伊藤宏明氏が指導陣に加わったことも紹介した田中新監督は、「アタックやBKの細かいところを見てほしい」と期待を込めた。
 指揮官は、ラグビーの面以外にも力を入れる。
「オフフィールドでも明治大学の看板を背負っていることを(部員が)意識しないといけないと思います。人として、当たり前のことを当たり前にやる集団になりたい。強いだけでなく、応援されるチームに。大学のOBやOG、ファンの方々に誇りに思ってもらえる集団を目指します」

 ベースアップを目的に、すでに個々が動き始めている同チーム。全体での活動を始めるのは、3月12日に予定しているキックオフミーティングからだ。
 新監督は、各選手の成長、向上こそが、強いチームを作る上での基礎になると考える。

 新チームのキャプテンを務めるSH福田健太(茗溪学園)については、練習の取り組み方から見ても「ふさわしい」と話した。ヘッドコーチとして対話してきた中で成長を感じたからだ。
「昨年の最初のうちは、ムラッ気があると感じていました。一度メンバーから外れたとき、そういうところが練習態度に表れたこともあった。そのとき、それではSHとしてダメだし、将来リーダーになるかもしれない人間としてどうなんだ、という話をしました。そういうこともあって変わっていったと思います」
 ともに歩んでいくパートナーへ、信頼を寄せている。

 サントリー時代、ワールドシーンや国内シーンでチームを高みに導いたコーチたちの姿を目の当たりにしてきた。最近だけでも清宮克幸監督、エディー・ジョーンズ監督、大久保直弥監督、沢木敬介監督。それぞれの長所を採り入れ、自身の指導スタイルを確立する。
 ヘッドコーチから監督に立場が変わり、これまでになかった役をこなしたり、判断を求められることも、すでに増えている。アドバイザーとしてチームに残る丹羽監督と役割の分担をしながら、チーム運営を進めていくことになるだろう。

 しかし、グラウンド上のことは責任を持って決断していく。
「立派なチームカルチャーを作り上げている帝京大学にその部分で追いつくには、それなりの時間がかかると思っています。そういう中で勝とうと思うなら、まず、ラグビーの部分では超えていかないと勝てない」
 任期は基本2年。部長の口からは、「その先はご相談」との言葉も出たけれど、42歳の新指揮官は1年目から勝負をかける。





RMワールドカップ2019ラグリパcolumn2