Nations

168センチがどうした。U20代表候補、岡山仙治(天理大)の「嫉妬する」男。

石見智翠館高校時代は主将。168センチ、90キロ。(撮影/松本かおり)



 168センチの背番号7は堂々としていた。
 天理大学のFL岡山仙治(ひさのぶ)。小兵フランカーは、2月14日におこなわれたU20日本代表候補と、来日中のシドニー大クラブが戦う試合に出場した。

 2月9日からおこなわれていたTIDキャンプ(U20日本代表候補合宿を兼ねる)の最終日におこなわれた同試合。遠藤哲ヘッドコーチが「5日間の練習で試合ができる状態にしてくれた選手たちを評価したい」と振り返った80分は、攻守の切り替え時に集中力で上回ったシドニー大クラブが43-27で勝った。
 岡山はその試合を「最初はこの合宿で教わったことを頭で考えながら動いている自分がいましたが、途中からは自然に(体が動いて)プレーできるようになった」と振り返った。

 自チームでも小柄な部類なのに、大学1、2年生を中心とした同世代のトッププレーヤーたちの中に入れば、ひときわ周囲とのサイズの違いが目立つ。しかし、本人にはそんな素振りは見られないから肝が座っている。「いつもそうなので」と笑い飛ばす。
「国内だろうが、外国人が相手だろうが、いつも自分の方が小さい」
 この合宿や試合でアピールした実力が認められれば、世界への道が拓く。ジュニア・ジャパンとして出場するパシフィック・ラグビーカップやワールドラグビー U20チャンピオンシップに出場し、南洋の大男たちや、世界上位国の猛者たちと戦うチャンスを得る。
 そんな現実にも「いつもと同じ」を強調するのは苦い経験があるからだ。
 いつもと違えば、せっかくの良さも消えてしまうと知っている。

 いつもの自分が最強。
 そう信じて戦うことが、岡山仙治のスタイルだ。
 これまでのラグビー人生で見つけた。
「以前は戦う前に相手チームを見て、外国人選手がおったら気合いを入れたりしていたんです。でも、そういった気持ちが空回りして、うまくいかないことが多かった。だから考え方を変えました。大きな相手と戦うのは、自分にとっての日常です。そのための練習を毎日しているんだから、どんな時でもいつも通りでいいんだ、と。自分が勝つ。自分の方が強い。そう強く思うことはあっても、やることは変わらない。そういうマインドセットができるようになって、うまくいくようになりました」

 低いプレー。大きな相手には難しいことでも、自分には普通のこと。
 アタックでもデイフェンスでも前に出る。いつも意識しているから、それも当たり前にできる。
 大男たちを倒す術は、実は自分の普通と気づいて楽になった。
 シドニー大クラブ戦のパフォーマンスにも一貫性があった。何度も相手を倒し、たびたび防御の隙を走り、鋭く前進した。

 先輩に誘われて大阪・大池中でラグビーを始めた。球技が苦手だった少年は、体をぶつけ合うスポーツをすぐに気に入る。石見智翠館高校に進学。花園で活躍し、天理大学に進んだ。
 2年生となった2017年度シーズンは全試合に出場し、チームの勝利に貢献した。大学選手権では東海大に完敗し「勝ち方、ラグビーの理解力をもっと高めないといけない」と足りないものを感じたから、U20代表候補に選ばれ、自分を進化させる機会を得られたのは嬉しかった。遠藤ヘッドコーチには、前に出る意識の高さを評価された。

 自分で生きていくスタイルを見つけ、確立した岡山。高い探求心で、より高いレベルへ進もうとしている男には、「尊敬しているというか、嫉妬しているような感じ」という存在がいる。
「(天理大で1学年上の)島根一磨(かずま)さんです。僕の考える理想というか、どこまでも走り、デイフェンスして、タックルして、アタックにまた走る。80分同じことが続けられる。きつくても動き続ける。人間性も素晴らしいし、尊敬していますが、それだけ揃うと…嫉妬する感じなんですよねえ」
 175センチと自分同様に小柄なFLは、新チームのキャプテンとなった。
 ポジション練習にともに取り組み、いろんなことを教えてくれる。そんな仲のいい先輩のことは大好きだが、ひとりのプレーヤーとしては負けたくない相手でもある。

「今回の合宿では、天理でやっているボールのもらい方とは違うやり方を教わりました。自分の知識が増えていくのは楽しいですね」
 春から3年生。目標とする男と勝負できる時間は1年しかない。世界に出て学び、大きく成長して勝負を挑みたい。





RMワールドカップ2019ラグリパcolumn2