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互いが強みを発揮。帝京大8連覇は、極上の80分の末に。

厳しい80分を戦い抜いた後の8連覇。大きな拍手が沸き起こった。
(撮影/塩隆)


 歴史が動いた。日本ラグビー史の中で特別だった「7」が「8」に塗り替えられた。
 1月9日に秩父宮ラグビー場でおこなわれた第53回全国大学選手権の決勝で帝京大学が33-26で東海大学を破り、8年連続8度目の優勝を手にした。東海大学が14点を先制したものの、連覇中の王者は慌てず、激しく、精度高く反撃して逆転。クロスゲームを制した。
 
 1万3776人のファンは、前半から互いに強みを出し合う試合を凝視した。キックオフでの相手ミスから敵陣に攻め込んだ東海大は、ゴール前のスクラムで強烈な圧力をかける。帝京大のコラプシングで得たPKからラインアウト→モールでトライラインに近づき、その後のアタックでHO大塚憂也が先制トライを挙げた。その後も攻め入る時間が長かった青いジャージーは、前半10分過ぎからゴール前でスクラムの時間を迎える。何度かの組み直しなどを経て、17分にはスクラムトライを奪った。
 
 0-14とビハインドを背負った帝京大。しかし慌てることはなかった。強みを出せるエリアに相手を入れなければ大丈夫。そんな確信があったからだ。
 頼りになったのはSO松田力也だ。
「エリアをとり、いつも通りに戦えば」
 広い視野で攻める方向を決め、効果的なキックを蹴り込み、自ら動いてチームを前に出した。
 真紅の背番号10が自ら防御ラインを突破し、その後のキックから敵陣深くに入ったのは29分過ぎ。東海大の抵抗にすぐにはインゴールに入れなかったが、34分、NO8ブロディー・マクカランとコミュニケーションを取ってインゴールにキックを転がしてトライを返す。その5分後のトライもキックを蹴り合った後、松田のラインブレイクからパスをつなぎ、最後はCTB矢富洋則が決めた。
 
 激しい攻防の末、14-14で終わった前半。帝京大サイドは手応えをつかんでいた。
「あちらの息があがっているのを感じました」
 FL亀井亮依主将と松田の体感だ。
 後半2分、東海大はSH湯本睦のインターセプトから勝ち越すも(19-14)、その後のチャンスをフィニッシュまで持っていけず勢いを出せなかった。その一方で、帝京大は高い集中力で相手のミスを得点に結びつけた。後半15分のCTB矢富のトライは、タックルミスにつけ込んで淀みなくスコア。23分のトライは東海大のキックがダイレクトタッチとなった直後のラインアウトから奪った。
 そうやって逆転した王者は畳みかける。28分にはラインアウトからのアタックで、松田がインゴールに転がしたキックをWTB竹山晃暉が押さえてトライ。背走、そして同時に飛び込んだ東海大のデイフェンダーとどちらがグラウンディングしたか微妙だったが、松田は「声が聞こえたから蹴った。竹山が声を出すのは、トライをとれるとき」と自信があった。33-19とリードを広げ、その後の東海大の抵抗を1トライだけに抑えて8連覇を達成した。
 
 前半から息を呑んでいた多くのファンは、最後まで同じ緊張感でピッチを見つめた。東海大の木村季由監督は「主導権を握ることができた時間帯もあったし、強みも出せた。選手を誇りに思うが、勝たせてあげられなかった」と話し、帝京大・岩出雅之監督は、「学生たちのたくましさをあらためて感じた。本当にしぶとい帝京ラグビーを見た」と言った。いつもともに過ごしている指導者の心が震えるのだから、観戦者が感激するのも当然だった。
 東海大のNO8テビタ・タタフは「これまででいちばんキツいディフェンスだった」と相手を称え、チームを勝利に導いた司令塔も、「この4年間でスコアもそうだけど、体力的にもいちばんキツかった」と挑戦者が手強かったと認めた。
 新しい歴史は、激戦の末に生まれた分、重みを増した。

tokai

序盤に主導権を握った東海大だったが…届かず。(撮影/松本かおり)



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