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慶大のファイトに帝京大はフラストレーション? 4連勝も「いい薬」もらう。


帝京大のPR平井将太郎に低くタックルする慶應義塾大のPR細田隼都(撮影:KYOKO TAGUCHI)

 ノーサイド。岩出雅之監督は、円陣の真ん中でこう話したという。

「いい薬になっただろう」

 大学選手権7連覇中の帝京大は10月23日、東京・秩父宮ラグビー場で関東大学対抗戦Aの第4戦に挑んだ。

 昨季も制した対抗戦では、ここまで成蹊大、日体大、青山学院大にそれぞれ91−0、134−3、111−0と3戦全勝。しかしこの日は、前年度5位の慶大に前半16分に先制点を奪われるなど苦戦した。42−31と白星こそ挙げたが、指揮官は「自分たちのできることが出せなかったのは残念」と続けた。

 まず、序盤のスクラムで押し込まれた。相手のまとまったパックを前に、左側から崩れ落ちる。故意に塊を壊す、コラプシングの反則を取られた。

 試合を追うごとに修正を加えたものの、後半33分の自陣22メートル線付近右で自軍ボールをターンオーバーされた。そのまま気圧され、慶大のPR渡邊悠貴のトライを許した。ここでスコアは42−24。だめを押した後にも関わらず、相手の息の音を止めきれなかった。

 後半34分までスクラムの最前列中央に入ったHO堀越康介は、苦しい状況をこんなふうに振り返った。

「センターライン(両者の間にあるスペース)を慶大に取られたまま、フッキング(足を上げてボールを手繰り寄せる動作)の瞬間に浮いてしまった。慶大は低く、まとまりにこだわっていた。いい勉強になりました」

 攻めては前半21、38分にラインアウトモールからトライを取るなど、効果的に点差を広げた。それでも、攻め込んだ先の密集で再三、ターンオーバーされた。

 FLの亀井亮依主将は「きょうの慶大さんのように(接点に)絡んでくるチームに対し、ボールキャリーが高く当たってしまい、グリップ(ボールの握り)が甘くなってしまう部分が多々あった」と認め、LO飯野晃司副将も「身体を当てきれなかった。それに尽きます」。相手の鋭い出足のタックラーを前に、力強いコンタクトができなかった点を悔やんだ。

 守ってはお家芸たる強烈なタックルと球への絡みを繰り出したが、ここでもスクラムと同様に反則を取られた。岩出監督が「レフリングをどう捉えるか、です。(レフリーには)忠実にやっていただいていると信じ、やれることをやるしかない」と苦笑するかたわら、FL亀井主将はこう話すほかなかった。

「細かな連係ミスで相手にチャンスを与えてしまった」

 1対1の局面へ援護した防御がノット・ロール・アウェー(タックルしたままその場を退かない反則)と断じられたシーンについては、こう捉えていた。

「こちらのリアクションが遅いところもありましたし、(当該の選手が地面に)手をついてしまっていた部分もあった。まずは立ってプレーしないと。(レフリングは)どんどん厳しくなっていくかもしれませんし、練習中から意識してやっていきたいです」

 シーズン終盤戦では、日本選手権でのトップリーグ勢撃破を狙う。その前には11月6日の早大戦(秩父宮)など、学生界の上位陣とのゲームも予定されている。まずは目の前の現実を見据えてか、岩出監督は「きょうの反省をどう活かすか。彼ら(選手)が見せてくれる」と悠然と構えていた。

 かたや惜敗の慶大は、「結果としては何も成していませんが、やって来た方向性は間違いないと思えました。身体を当てるプレーで戦えている。それがこのスコアにつながった」とNO8鈴木達哉主将。金沢篤ヘッドコーチも「フィジカルを鍛えてきたことが、ここにきてキャッチアップできている(成果が現れている)」と続け、同じく11月6日にある明大戦(秩父宮)を見据えた。
(文:向 風見也)

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